
悩み解決! Q & A
在宅介護、遠距離介護、介護と仕事の両立、認知症、高齢者の暮らし、生活の場など、お客様より日頃いただくご質問をQ&Aスタイルで紹介します。
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在宅介護
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Q 在宅介護の準備について教えてください
Q
80代の父が急に倒れ、脳梗塞と診断されました。左半身麻痺となりリハビリのため入院中ですが、退院後は自宅での生活を希望しています。在宅介護に向けてどんな準備をしたら良いのでしょうか。
A
「在宅介護」というと慌ててしまう方もいますが、まず親の生活機能(できること、できないこと)の状況、病状や治療方針、リハビリの最終目的、今後の方向性を正確に把握することが必要です。
介護を始める前に準備しておきたいポイントを紹介しましょう。1 現状の状況を把握・整理する
- 本人
- 心身の状態、生活機能(できること、できないこと)の状況、
治療方針などをしっかり把握する
- 家族
- 介護生活への不安と要望の整理
2 “介護プロジェクトチーム”をつくる
- ●キーパーソンを決める(配偶者、子、子の配偶者など)
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●役割分担を確認する
(情報収集、サービス事業者との連絡調整、通院の付き添いなど) - ●訪問のスケジュールを組むなど
3 適切な住環境を準備する
- ●心身機能と住環境を照らし合わせ、危険な場所や生活動線等を確認
- ●心身機能・住環境に適した福祉用具の選定、住宅改修
4 介護保険制度を理解し、サービス内容を知る
- ●申請からサービス開始までの流れを把握
- ●サービスの種類・費用・効果と具体的な利用方法の理解
- ●相談機関の活用
5 信頼できるケアマネジャーを選びケアプランを作成する
- ●介護サービスの選択
- ●介護用品の選択
6 民間・公的サービスを活用する
- ●自治体独自の行政サービス(配食、移送、緊急通報など)
- ●民間、ボランティアサービス活用(保険外ヘルパーなど)
7 「ワーク・ケア・ライフ・バランス」を整える(働く人の場合)
- ●仕事と介護のバランス
- ●介護休業制度、介護相談機関の活用
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Q 小規模多機能型居宅介護ってどんなサービス?
Q
母が脳梗塞で倒れ、要介護3の認定を受けました。今後の介護について地域包括支援センターに相談したところ「小規模多機能型居宅介護」の利用を勧められたのですが、どのようなサービスなのでしょうか?
A
小規模多機能型居宅介護は、「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」「訪問(訪問介護)」の各サービスを1 つの事業所からまとめて受けることができる、いわゆるセットメニューのようなサービスです。
24時間切れ間なくサービスが提供されるため、緊急時やご家族の突発的なニーズにも臨機応変に対応することができます。また、どのサービスも、顔馴染みのスタッフから受けることができるので、人見知りのある方や認知症の方でも安心 です。ただし小規模多機能型居宅介護は、介護保険サービスの「地域密着型サービス」に含まれているため、原則としてお母様がお住まいの市区町村以外の事業所は利用いただけません。
市区町村によっては、小規模多機能型居宅介護を実施していなかったり、数が少なかったり、利用できない場合もあるので、詳しくは担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の介護保険課等にご相談ください。
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Q 家族ができる新型コロナウイルス感染症の予防対策を知りたい
Q
自宅で親を介護していますが、私が新型コロナウイルスに感染して親にうつしてしまうのではないかと心配です。家族ができる感染予防のポイントがあれば教えてください。
A
ご家族は、ご自分の感染だけではなく、要介護の親にうつしてしまうリスクや自分が介護できなくなってしまった場合のことなど心配が多いと思います。ご家族ができる新型コロナウイルス感染予防対策のポイントをご紹介します。
新型コロナウイルス感染症の感染予防対策のポイント
高齢者は細菌やウイルスなどに感染する可能性が高く、さらに病気や障害によって体力や免疫力が低下している場合は、感染すると重症化しやすく生命に危険が及ぶ可能性もあります。要介護の方と暮らすご家族は感染予防に十分配慮する必要があります。
ウイルスの感染経路を知る
新型コロナウイルスは、手や服につくだけでは感染せず、主に飛沫感染や接触感染などウイルスが人の体内に入ることで感染します。
●飛沫感染
感染者のくしゃみ、咳などの飛沫と一緒に放出されたウイルスを吸い込むことで感染。咳1回で、約10万個のウイルスが約2m飛び、1回のくしゃみで、ウイルスが3mも飛ぶとされています。●接触感染
ウイルスがついたドアノブや手すり等を握り、その手で口や鼻、目を触り体内に入ることで感染。ウイルスは、プラスチックの表面には最大72時間、紙等では最大24時間生存するとされています。●空気感染
感染者が飛ばした飛沫核(エアロゾル)を吸い込むことで感染。換気の悪い屋内などでは微細なエアロゾルに含まれたウイルスが数10メートル浮遊し、3時間程度は感染リスクを有するとされています。家にウイルスを持ち込まないようにする
外でさまざまなものに触れた手や衣類などには、多数のウイルスが付着しています。自分の手や身に着けているものにはウイルスが付着していると認識して対応しましょう。
●家に帰ったらシャワーを浴びる
帰宅後、そのまま浴室で体を洗い流すとウイルスを持ち込むリスクを回避できます。難しい場合は、洋服を着替えるだけでも軽減できます。新しいマスクに交換することも忘れずに。●手を清潔にする
帰宅後はどこにも触らず手洗い場に直行するか、玄関にアルコール消毒液を置いて手を消毒しましょう。感染源からガードする
ウイルスの体内への入口は目や鼻や口の粘膜です。一定の距離を保ち、目、鼻、口からのウイルスの侵入を防げば、基本的には感染リスクを避けることができます。
●目鼻口をガードする
目鼻口に触れないことが大切です。マスクやメガネでガードし、2m以上の距離をとり飛沫を浴びないようにしましょう。●家族がよく触れる場所を消毒する
ドアノブ、スイッチ、テーブル、手すり、リモコン、トイレのレバー等は定期的に消毒しましょう。●換気をする
密室空間はこまめに換気をしてウイルスを外に出すことが重要です。●ものを共有して使わない
食事は小皿に取り分け箸やスプーンは共有しない、タオルは個別に用意するなど、共有してものを使わないようにしましょう。要介護の方に配慮した感染予防対策をおこなう
要介護の方は免疫力が低く感染リスクが高いため、体調管理や体力の維持・向上を心掛けてウイルスへの免疫力を高める生活を送ることが大切です。また、生活における感染リスクを把握して、できるだけ感染しないよう予防ケアをおこなっていきましょう。
●体調管理を徹底する
毎日の体温測定、体調の変化(食欲、味覚、嗅覚、排せつ等)を把握、記録しておきましょう。●体力の維持・向上
バランスの良い食事、口腔内の保清、適度な運動、十分な睡眠は免疫力を高めることにつながります。●持病のコントロール
持病を悪化させないことが大切です。通院による感染が心配な場合は、かかりつけ医の電話相談やオンライン診療を活用するという方法もあります。●接触者を把握する
外出先、デイサービス等の利用先、訪問者などを把握しておきましょう。●本人にも感染リスクを理解してもらう
マスクや手洗い、感染予防について理解し、できることは自分でやるという気持ちが大切です。感染を恐れて、要介護の方が家にこもりきりになるのも良いこととは言えません。散歩等で気分転換を図ることも大切です。介護サービスを利用している場合は、感染予防を徹底しながらできるだけサービスを継続しましょう。また自分が感染してしまった際のことを想定して、他に介護ができる人の確保や代替サービスなどについて担当のケアマネジャーと相談しておきましょう。
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Q
母に車いすが必要になった(介護保険区分変更申請)
Q
リウマチで足が不自由な母と同居しています。最近、車いすが必要になりました。介護保険の認定は受けていますが、サービスは利用していません。母のために何から始めればよいか教えてください。(介護認定:要支援2)
A
いまのお母様の状態に合った適切な介護サービスが受けられるように介護認定を見直す手続き(区分変更申請)をおすすめします。また、ご自宅もお母様の状況に適した住環境に整備して、安全に過ごせるようにしましょう。
介護認定を見直して介護サービスを活用する
1 介護保険の認定期間を確認、「区分変更申請」の準備をする
要介護(要支援)認定には有効期間があり、「更新申請」(期間の60日前から可能)が必要です。今回は更新時期を待たずに申請できる「区分変更申請」を利用します。まずは担当の地域包括支援センターへ相談しましょう。
◎区分変更申請とは
前回の認定後に心身の状態が悪化するなど、介護の必要性が高くなった場合、更新時期を待たずに介護度を変更するための申請手続きのこと。
※申請の理由として、介護する家族の状況変化や居住場所の変更(施設入所)など、本人の状態変化以外は認められません。2 区分変更申請の流れ
自治体の窓口に『介護保険区分変更申請書』を提出します。その後の流れは介護保険新規・更新申請と同様です。
Check! 申請の理由を記載
例)認知症の進行のため、転倒による骨折のため、病状の悪化など
3 ケアプランを作成、利用したいサービスを選択
ケアマネジャーを探し、区分変更申請中であることを伝えて「ケアプラン」の作成を依頼しましょう。お母様の負担やご家族の不安を軽減するために利用したい介護サービスをケアマネジャーに相談して決定します。
※認定前でも申請日に遡って介護サービスの利用が可能です。
ただし、介護度によっては利用できないサービスもあるため、全額自己負担になる可能性に注意が必要です。4 介護保険を活用して住環境を整備
車いすを始めとする福祉機器のレンタルや購入費の助成、住宅改修費助成制度などを活用してご自宅の住環境を整備しましょう。
5 介護保険以外のサービスも組み合わせて
車いすでも乗降しやすい車や移送サービスなどを積極的に活用してお母様の外出の機会を確保しましょう。
不安なことや分からないことは担当ケアマネジャーや地域包括支援センター、お母様の主治医などに相談しながら、お母様の暮らしをサポートしてください。
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Q
高齢の親が要介護にならないか心配です(フレイル予防)
Q
85歳の母は、最近新型コロナウイルスの感染を恐れて外に出たがりません。このままでは介護が必要になってしまうのではと心配です。先日、介護予防には「フレイル予防」が効果的と聞いたのですが、フレイルって何ですか?
A
誰でも親にはできるだけ元気でいてほしいと願っていると思います。介護状態にならないためには、フレイル予防がカギとなりますが、日常生活に問題を感じていないと、お母様ご自身がフレイルに気付くのは難しいかもしれません。そのため、ご家族がフレイルの知識を得て、お母様に予防方法や注意して欲しいことを伝えましょう。
フレイルとは
「健康」と「介護が必要な状態」の中間にあたる「虚弱な状態」で、何もせずにそのまま過ごしていると、介護が必要となる可能性が高くなります。しかし、この時期に適切な取組みを行うことにより、健康な暮らしに戻ることができます。
フレイル予防4つのポイント
Point 1 「食事」 栄養バランスの良い食生活
Point 1 「食事」
栄養バランスの良い食生活低栄養は、フレイルを起こす最大の要因です。栄養状態が悪かったり、食事内容に偏りがあると、身体を維持するために必要な栄養素が不足してしまいます。さまざまな栄養素をバランスよく摂取して、低栄養状態に陥らないようにしましょう。
<予防と対策「食事」>
●[参考リンク]東京都介護予防・フレイル予防ポータル「食べる(栄養)」
●[参考リンク]
東京都介護予防・フレイル予防ポータル「食べる(栄養)」<簡単にできる工夫>
●普段の食事に+1品で栄養量を増やす
例:野菜や卵、お肉などを入れて具だくさん味噌汁、しらすや海苔、チーズやツナ缶をプラスするなど
●飲み物を牛乳や豆乳、ヨーグルト、スキムミルクに変更してみる
●電子レンジや缶詰を活用する
例:野菜と豚肉を電子レンジで加熱してしゃぶしゃぶサラダ、焼き鳥缶を卵でとじて簡単親子丼など
Point 2 「運動」 筋力・歩行力を維持
Point 2 「運動」
筋力・歩行力を維持生活習慣病を予防したり、運動機能を維持するためには、日常生活に運動を取り入れ、習慣化することが大切です。特に筋力や筋肉量は、適切な運動やバランスの良い食事によって取り戻しやすいといわれています。
<予防と対策「運動」>
●[参考リンク]東京都介護予防・フレイル予防ポータル「動く(体力)」
●[参考リンク]
東京都介護予防・フレイル予防ポータル「動く(体力)」<運動を無理なく続けるコツ>
●短時間にする、週2回からなど目標設定は低めにしましょう
●「ついでに運動」の軽い気持ちで、
毎日続けられる方法を少しずつ、楽しみながら行いましょう●「ついでに運動」の軽い気持ちで、毎日続けられる方法を少しずつ、楽しみながら行いましょう
Point 3 「社会参加」 人や社会とのつながりが大切
Point 3 「社会参加」
人や社会とのつながりが大切外出の機会や家族、友人との交流が減ると、身体機能だけでなく、認知機能の低下も進むと言われています。コロナ禍であっても、定期的に家族と一緒に食事をしたり、趣味のサークルなどで新たなつながりを作ったりなど、人との関わりを大切にしましょう。オンラインでも効果があります。
<予防と対策「社会参加」>
●[参考リンク]
東京都介護予防・フレイル予防ポータル「つながる(社会参加)」<コロナ禍でもできること>
●家族や友人と、電話やメール、手紙でつながる
●オンラインや少人数で開催している興味にあうサークルや地域の教室などを探して参加する 等
Point 4 「口の健康」 口腔機能を保つケア
Point 4 「口の健康」
口腔機能を保つケア口の機能が低下することを「オーラルフレイル」と言います。加齢とともに噛む機能が低下すると、硬い食材が食べられなくなったり、うまく飲み込めなくなってきます。また、食べづらくなることで食事を楽しめなくなり、その結果、低栄養を起こすこともあります。毎日のセルフケア(歯磨き・うがい)やトレーニング、定期的な歯科検診を行って、オーラルフレイルを予防しましょう。
<予防と対策「口の健康」>
●[参考リンク]
東京都介護予防・フレイル予防ポータル「お口の健康(口腔)」■介護予防情報 参考リンク
◎シニアのためのおうち時間を楽しく健康にすごす知恵「おうちえ」
■相談窓口
◎総合相談:各地域の地域包括支援センター
◎自治体のサービス:自治体の介護保険課、高齢福祉課など
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生活の場
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Q 住み慣れた我が家でもっと快適に暮らしたい
Q
築30年が経つ我が家。設備なども古くなり、少しずつ住みにくさを感じるようになりました。家族からはリフォームを勧められていますが、まだ早い気がして迷っています。他によい方法はありませんか?
A
住み慣れたご自宅に不便やストレスを感じるようになったら、これから先の住まい、暮らし方を見直すタイミングです。リフォームで解決できることもありますが、費用も時間もかかるため事前に十分な検討を行う必要があります。
今回はその前にできるちょっとした工夫や暮らしをより安全に快適にするための備えをご紹介します。整理整頓でゆとりのある生活動線に
- ●床や廊下にある不要なものを片付け、よく歩く通路の障害物を取りのぞく
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●量が多い場合には、
一人でやりきろうと思わずプロの整理整頓サービスを利用する
家庭内での事故やケガを予防する
- ●ヒートショック対策として温度差のある浴室やトイレに電気式暖房器具を設置する
- ●転倒防止のために、敷居など室内の段差を解消するスロープを設ける
- ●トイレやバスルームに立ち上がりを助ける手すりを設ける
身体に負担のかかる動作を減らす
- ●階段の上り下りの負担を軽減するため、2階の寝室を1階に移動する
- ●収納棚を使いやすい高さに調整する
- ●玄関の上り框の段差をゆるやかにする踏み台を設置する
- ●入浴時の立ち座りを楽にするシャワーチェアを導入する
- ●室内の開き戸を開閉しやすい引き戸に変更する
危険の多い場所は早めに対策することが大切です
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Q 車いすの父が快適に暮らせるよう自宅をリフォームしたい
Q
同居する父が脳梗塞を患い、リハビリ病院に入院中です。今も左半身に麻痺が残り、車いすが必要な状況です。退院後、自宅で快適に過ごせるようにリフォームを考えています。どんなことに注意したらよいでしょうか。(介護保険:要介護3)
A
お父様の身体状況の変化には、お父様だけでなくご相談者様も大変なショックだったのではないでしょうか。まずは、お父様が車いすでも安全かつ快適に過ごせる住環境に整えるリフォームのポイントをご紹介しましょう。
1 お父様の心身の状況・生活リズムの把握
麻痺の有無、筋力の低下など障害の状況、 リハビリの進捗状況、起床、食事、 排せつ、入浴など一日の生活リズムを把握しましょう。
2 車いすの移動、介護に必要なスペースの確保
廊下や間口に車いすが無理なく通れるだけの幅があるか、 室内及び玄関の出入り口に通行の妨げとなる段差がないか、 トイレや浴室に介護者のスペースは十分確保されているか確認し、 リフォームが必要な箇所を洗い出しましょう。
3 高齢者向けリフォームに適した業者の選定
リフォーム業者を選択する際の注意点として、 高齢者向けリフォームの経験がある、 介護保険住宅改修助成制度の手続きを行なったことがある、 など事前に確認しておきましょう。 また福祉住環境コーディネーター(※)資格者の有無も 選択のポイントとなります。
※福祉住環境コーディネーターとは、 高齢者や障害者にとって住みやすい住環境を整備するために必要な 専門知識や情報を持ってコーディネートを行なう者。
4 介護保険制度の活用
介護リフォームには補助金対象の工事があり、条件を満たしていると補助金が支給されます。 介護保険制度や自治体が行なっている助成制度とその申請方法について、 自治体の介護保険課や地域包括支援センターに相談してみましょう。
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Q 親の有料老人ホームを探したい
Q
私の両親は近県で二人暮らしをしていましたが、昨年母が亡くなり、現在父一人で暮らしています。自分なりに家事をこなしながら生活していますが、80歳という高齢のため心配でなりません。
私の家に同居できるスペースがないので、近くの有料老人ホームへ入居してくれればと思っています。どのように探せばよいですか。A
有料老人ホームは、入居時の心身状況に応じて検討すべき施設のタイプが異なります。まずはお父様の現状やご希望を確認しましょう。
費用・サービスの質・施設の設備などの面で多様化していますので、じっくり調べ、実際に見て、慎重に検討する時間が必要です。住まい探しのステップ
1 ニーズを確認する
- ●親や家族の希望、課題を整理する
- ●どのようなシニアライフを過ごしたいのか希望する生活像を明記する
2 知識と情報を収集
- ●介護施設、老人ホームなどの種類や入居対象者・費用・提供サービスの知識を得る
- ●インターネット・本など複数の媒体から情報を収集する
- ●良いことばかりでなく、「マイナスの情報」にも耳を傾ける
3 資金計画を立て、施設をピックアップし、資料を請求
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●予算の目処がついたら、条件に合う施設やホーム、住宅に資料を請求
※内容をよく読んで確認しましょう。
◎請求する資料
- ●パンフレット・料金表
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●重要事項説明書
事業者の概要や料金、サービスの内容、スタッフの勤続年数、入居者の平均年齢などを説明した資料です。パンフレットなどでは分からない詳細な内容が記載されていますので、入居を検討する際はよく確認し、疑問や不明な点があれば事業者に確認しましょう。
- ●食事メニュー表やアクティビティプログラム
4 見学
- ●スタッフの対応や施設の雰囲気を確認
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●どのような方が暮らしているのか、入居者の表情を観察
※自分が居住したときの暮らしをイメージしてみましょう。
◎体験入居
滞在してみると分かることがあります。食事・スタッフの対応・入居者の印象など自分の目と耳で確認しましょう。施設やホーム、住宅によっては、体験入居が出来ない場合があります。
5 不明なところ、疑問点の確認
契約前に、「重要事項説明書」や「サービス内容」などの資料に目を通し、疑問や不安は納得するまで説明を受けましょう。
6 契約・入居
契約には「保証人」や「身元引受人」が必要です。いない場合は事前に運営事業者へ相談しましょう。
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Q 有料老人ホーム見学のポイントを知りたい
Q
一人暮らしの74歳の父が骨折。介護が必要になった父は「子供の世話になるよりも有料老人ホームに入居したい」と希望しています。自宅近くの有料老人ホーム情報を集めて父と一緒に見学しようと考えていますが、どんな点に注意したらよいですか。(介護保険:要介護2)
A
有料老人ホームを探す際、必ず行なっていただきたいのは「見学」と「体験入居」です。ホームの外観や設備などはパンフレットやホームページを見ればわかるかもしれませんが、実際に入居中の方の様子や雰囲気まで知ることはできません。
見学前に確認いただきたいホームの情報収集と見学時のチェックポイントをご案内します。見学までに確認しておきたいこと
見学する前にパンフレットや重要事項説明書などの資料を取り寄せ、ホームに関する情報を確認しましょう。特に重要事項説明書にはホームの概要や費用、提供されるサービス内容、スタッフの保有資格などパンフレットではわからない情報が記載されています。
項 目 チェックポイント ホーム類型 □介護付 □住宅型 □健康型 入退去の条件 □年齢 □要介護度 □医療行為 費用について □入居金や月額利用料の内訳 □支払い方法 経営母体 □経営母体 □介護事業の実績 ケアの体制 □介護スタッフの体制は基準の3:1以上か
□看護スタッフの対応時間医療の体制 □医療機関との連携(往診・診療科目等) ケアデザイン作成資料 チェックポイントより一部抜粋
見学のポイント
入居後の生活をイメージしながら、スタッフとのコミュニケーションの様子や入居者の表情などを観察しましょう。
また入居者の平均年齢・平均介護度は、そのホームへの入居を検討している方(自分・親)の状態に適しているかを見極めるための重要な情報のひとつです。
年間の入退去者数や退去先(自宅や病院)を聞いてみるのもよいでしょう。例えば、退去先に病院が多い場合、医療的処置が多くなったときホーム内で対応できない可能性が見えてきます。身体介護が必要な方は、食事、入浴、排泄などのケアが本人の状態にあわせて行なわれているかなどのチェックも必要です。項 目 チェックポイント 立地 □交通の便 □医療機関 □周辺環境 等 入居者
スタッフの様子□入居者の表情 □入居者の平均年齢
□スタッフの保有資格 □スタッフの勤続年数設備 □共有スペースの明るさ
□バリアフリーに対する工夫食事 □治療食(塩分・カリウム・カロリー等)
□食事形態(刻み食・ソフト食 等)入浴・排泄 □週の入浴回数・希望に応じた入浴が可能か
□排泄介助が行われているか家族との係わり □入居者の外出・宿泊 ケアデザイン作成資料 チェックポイントより一部抜粋
体験入居
夜間のホームの雰囲気やスタッフの対応、入居者の様子は見学だけでは知ることができません。実際にホームでの生活を体験しましょう。見学時に体験入居の有無や費用、体験可能な日数等を調べておきましょう。
またご家族もなるべくホームを訪れ、生活の様子などを確認してください。体験入居中はできるだけリビングなどに出て他の入居者と話したり、積極的にレクリエーションやイベントへ参加してみましょう。
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暮らし
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Q 介護費用の負担を軽くする方法はありますか
Q
寝たきりの夫(82歳)を介護しながら、夫婦二人で暮らしています。最近自分も膝の痛みで歩行に支障があり介護保険サービスの利用を開始しました。
ただ、年金生活のため診察や薬、介護にかかる費用を重く感じています。少しでも経済的な負担を軽くしたいのですが何か方法はありますか。
(妻:要支援2 / 夫:要介護4 身体障害者手帳1級)A
介護保険制度は介護の負担を軽減し、在宅生活をサポートしてくれる便利な制度ですが、利用にはお金(かかった費用の1~3割が自己負担額)がかかります。介護や医療の経済的な負担を軽減するための制度をご紹介します。
介護や医療の費用負担を軽減するための制度
高額介護サービス費制度
介護保険制度には、高額になった介護保険サービス利用費が払い戻される「高額介護サービス費」制度があります。
高額療養費制度
医療費の負担を軽減する制度としては、1ヶ月にかかった医療費が所得によって定められている基準をこえると払い戻される「高額療養費」制度があります。
高額介護合算療養費制度
1年間にかかった医療保険と介護保険サービスを利用して支払った自己負担額が一定金額を超えた場合、差額分が払い戻される「高額介護合算療養費」制度があります。
医療費控除制度
支払った医療費等が年間10万円を超えた場合、確定申告の手続きにより、差額分を所得から差し引くことができる「医療費控除」制度があります。
その他の制度
身体障害者手帳の取得により、障害の程度に応じた福祉サービスを利用することもできます。
知らないと利用できない制度が多いため、担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に相談してみてください。
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Q エンディングノートの使い方を教えてください
Q
70代で一人暮らしをしています。今は元気ですが今後介護が必要になったり、認知症になったりしたらと不安に思うようになりました。先日、書店で「エンディングノート」を見つけたのですがどのように利用するものでしょうか。
A
エンディングノートとは、人生、お金、介護、医療(終末期)、葬儀のことなど自分が希望する暮らしに必要な情報を整理し、家族や周囲の人に伝えるための連絡帳です。高齢になると人の手を借りたり、介護を受けたりする機会が多くなりますが、エンディングノートを通して自分の性格や大切にしている習慣、要望を伝えることで、家族や介護する側と良い人間関係を築く助けになります。
まずは、これまでの人生の歩みを振り返りながら、趣味や仕事の経験、好きな食べ物などを気楽に書いてみてはいかがでしょうか。次のステップとして介護が必要になった時のお金の使い方や延命治療についても考えてみましょう。書き進めているうちに気持ちも整理でき、老後の不安解消に役立つはずです。書き留めておきたい項目
医療 既往歴、延命処置の希望など 介護 介護を受けたい場所、費用のことなど 財産 預貯金、その他金融資産、不動産など 葬儀・お墓 場所、埋葬方法の希望など 住 生まれた場所、最も印象に残っている場所
大切にしている家具や食器など食 好物、嫌いなもの、アレルギーの有無
アルコールの摂取など衣 身だしなみのこだわり(靴の好み、髪型など)
好きな洋服の色やデザイン趣味嗜好 好きなテレビ番組、音楽(歌手)、映画など
昔やっていた趣味愛称 友人や家族から呼ばれていた愛称など
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Q 父が亡くなり悲しむ母親をサポートしたい
Q
元気だった父が末期がんと宣告され、わずか2 週間で急逝してしまいました。一人暮らしになった母は夜眠れなくなり、食欲もない様子で泣いてばかりいます。以前のように明るい母に戻って欲しいのですがどのようにサポートすればよいのでしょうか。
A
お父様が急逝され、お母様もご相談者様も大変おつらい思いをされているかと思います。遺された人は悲しみだけではなく、後悔、自責感、無力感、不公平感などさまざまな感情を抱いていらっしゃいます。
お母様を支えていくためには、寂しさや戸惑いなど心の中にあることを何でも話してもらい、その思いを受け止め、心身の状態に応じたサポートを行うことが重要です。感情の起伏が激しくなっても叱ったり責めたりしないようにしましょう。グリーフケアとは
身近な人と死別しつらい思いをしている人に寄り添い、悲しみから立ち直れるよう支援することを言います。同じ家族だからこそできるケアもありますが、つらい時には専門家の助けを求めることも大切です。
最近では電話で気軽に相談できる窓口から専門家によるカウンセリング、経験者が集まって話し合う自助グループ、グリーフケアを診療として取り入れている医療機関などさまざまなタイプがあります。◎グリーフケアをおこなう際のポイント
●大切なことは、心の中にあることを“何でも話してもらうこと” です。
お話がしやすい雰囲気づくりや環境を心掛けましょう。●遺された人は悲しみだけではなく、怒り、自責感、無力感、不公平感などさまざまな感情を抱いていらっしゃいます。感情の起伏が激しくなっても叱ったり責めたりしないようにしましょう。
●大切な人と死別したショックや悲しみを受け入れるまでの時間は人それぞれです。無責任な励ましや気休めの同意、悲しみの比較、回復を急かしたり考えを押し付けたりすることは避けましょう。
●死別により起こる変化は心や身体だけではありません。一人暮らしになったり、就労の必要性がでたり、慣れない家事を行ったりと生活環境や役割などに変化が生じることもあります。困っていることはないか確認し、具体的なサポート内容を持ち掛けて不安や負担を軽減していきましょう。
◎ご自分でできること
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●悲しみを受け止める
大切な人を亡くした時に悲しむことは自然なことです。寂しさや怒り、戸惑いなどご自分の中にある思いをそのまま受け止めてください。
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●言葉にして感情を吐き出す
大切なことは、悲しい気持ちや故人との思い出、困っていること、不安に感じていることなど何でも心に浮かんだことを話すことです。誰かに話すことがつらい時は、無理せず日記などを使うのも良いでしょう。
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●ひとりで苦しまずに周囲に頼る
悲しみや苦しみはひとりで抱え込まず、身近な人の力を借りることも大切です。難しい時は、医師や専門家などに相談することもできます。
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●健康的な生活を心掛ける
バランスの良い食事や適度な運動は、ストレスの解消やリラックス効果が得られ、良質な睡眠にもつながります。無理のない範囲でできることから始めましょう。
相談窓口
一人で頑張ろうとせずつらい時には助けを求めることも大切です。お母様のご希望や症状に合わせてご利用を検討してみてください。
◎電話相談
シニアダイアル(公益財団法人東京YWCA)◎がん患者やご家族の相談窓口
マギーズ東京(認定NPO法人マギーズ東京)◎専門家によるカウンセリング
グリーフ・カウンセリングセンター(GCC)◎グリーフケアを診療として取り入れている医療機関
国立がん研究センター中央病院(家族ケア外来)◎自助グループ
生と死を考える会 -
●悲しみを受け止める
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Q 高齢の父に運転免許証を返納させたい
Q
84歳の父は普段から車を運転していますが、車をこすったり急ブレーキをかけたりすることが多くなり心配です。
先日、父と運転免許証の返納について話し合いましたが、買い物に不便だと言って応じてくれません。父を説得する良い方法はありませんか。A
近年、高齢ドライバーが引き起こす交通事故が増加し、運転免許証を自主返納してもらいたいと考えているご家族が多いのではないでしょうか。しかしながら車が暮らしに欠かせない移動手段となっている高齢者にとって、返納という決断は簡単なことではありません。
高齢ドライバーに免許返納を納得してもらえる説得法を紹介します。運転の「目的」「意味」を理解しながら説得しましょう
運転する「目的」や「意味」は人それぞれです。まずは、ご本人の運転に対する思いを共有し、運転を中止することで必要となる支援についても一緒に考えていきましょう。
◎車が日常生活に必要な場合
自動車の代わりとなる移動手段や支援を探す
- 例
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●ご家族が運転する車に乗る
●公共交通機関を利用する
●病院の送迎バスを利用する など
◎運転が生きがい・楽しみの場合
運転以外の楽しみや生きがいとなる活動を一緒に探す
- 例
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●交流ができる場(サークル活動、カルチャーセンター、
老人クラブ、フィットネスクラブ)へ参加する
●ご家族で旅行をする ●介護保険通所型サービスを利用する
●貸農園での活動 ●ボランティア活動など
免許の更新に合わせて返納を促しましょう
75歳以上の免許更新には「認知機能検査」と「高齢者講習」の2つが義務付けられています。検査結果が75点以下の場合(「記憶力や判断力が少し低下している」、48点以下は「認知症の疑い有り」)は免許の返納を促すタイミングです。
不安があれば医療機関にて正確な診断を受けましょう
認知症の不安がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、正確な診断を受けましょう。医師から認知症の症状が見られることと運転の危険性について説明してもらい、運転免許の返納を説得しましょう。
説得が難しい場合、警察に相談しましょう
運転が危険だと感じたら、認知症であるかどうかに関わらず運転を継続することは望ましくありません。説得が難しい場合には、警察に相談するという方法もあります。
相談窓口
◎運転適性相談窓口(警察庁)
〈安全運転の継続に必要な助言・指導〉◎各警察署の交通課警察署・免許センター
〈運転免許証の自主返納制度の説明や手続き〉◎かかりつけ医、認知症疾患医療センター
〈認知症の不安がある場合〉◎地域包括支援センター、ケアマネジャー
〈今後の暮らしや介護サービスについての相談〉
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Q 実家の片付けをしたい
Q
実家に物が多く、転倒や火災が心配です。親が元気なうちに片付けをしたいと思うのですが、片付けの話になるそのうち片付けると言って全く進みません。何か良い方法はないでしょうか。
A
実家を片付ける際は、子供側が一方的に進めるのではなく、親御さんの意向や感情をくみながら行うことが大切となります。話を切り出すタイミングや片付けの進め方等、お互いが気持ちよく取り組めるように片付けのポイントをご紹介します。
実家の片付け。物の量が多い、どこから始めればいいのかわからない、どこに何があるかわからない、ケガをしそうで危ない…などの悩みは多くの方に共通です。実家の片付けを行う際は、きれいに整理整頓することだけでなく、親御さんが安全に安心して暮らせる環境に整えるという視点も大切となります。
今回は、親御さんと一緒に実家の片付けを進め、少しでもお互いが安心できる暮らしづくりのきっかけにしていただけるよう、どのように実家の片付けを進めたら良いのかをまとめています。話を切り出すタイミング
実家を片付けたいと話してみたけれど親御さんが納得してくれないときは、ゆっくり時間をかけて少しずつ説明したり、片付けについて話を切り出すタイミングを工夫してみましょう。
- ●お盆やお正月など家族が集まるとき
- ●家のリフォームを検討しているとき
- ●家具・家電の買い替えを検討しているとき
- ●親が病気やケガをしたとき
- ●親が引っ越しを望んだとき
片付けの目的を説明し、理解を得る
実家の片付けは、親の承諾を得ず勝手に行ってしまうと、トラブルに発展してしまう可能性があります。まず始めに、親御さんの意向やどうして片付けが嫌なのかを確認したうえで、家を片付けることで得られるメリットについても説明して、親御さんの気持ちが家の片付けに向かうようにしましょう。
- ●物を減らすことで、つまずいたり転んだり等、ケガをするリスクが軽減され安全に暮らすことができる
- ●火事になる心配についても伝える
- ●片付け、掃除をすれば衛生的になり、親の健康に良い
- ●使わないものを処分することで、掃除がしやすくなり、気持ちもスッキリする
片付けの進め方
◎スムーズに片付けを始めるためのポイント
親御さんと一緒に家の中をチェックして、転倒やケガ、火事等の危険な場所が無いか確認しましょう。
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●どこから片付け・整理するか決める
キッチンの棚、リビングのキャビネット、和室の押し入れなど
細かく分けて負担を少なく -
●時間を決めて少しずつ
毎日30分程度、2~3時間の片づけを毎週土曜日に行うなど -
●安全に配慮して整理
高い場所の整理や重い物の移動などは一人で行わない -
●危険な所は優先順位を高く
リフォームや道具などを活用して、早めに危険を軽減する
◎サービスを活用する
自分たちだけではスムーズに片付けができない場合は、便利なサービスを活用することも方法の一つです。整理整頓・収納に特化したサービス、定期利用や収納アドバイス付きサービスなど、状況に合わせて利用を検討してください。
親の気持ちに寄り添い、同じ目線を持って
実家の片付けを行う際には、長年使ってきたものや想い出の大事な品を処分することも多いかと思います。捨てる決断がなかなかできない場合は、写真に撮って残しておいたり、一時保管するなど、親の心の負担にならない方法を検討しましょう。親の意思を尊重し、気持ちに寄り添いながら行うことが大切です。
また、親御さんと一緒に片付けを行うことで物の整理だけでなく、将来の暮らしや介護・医療への希望や不安が確認できたり、資産や財産について話す機会にもなります。片付けのタイミングで親御さんの想いを聞くきっかけ作りになれば幸いです。
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遠距離介護
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Q 遠方の両親が心配です (自立高齢者向け支援サービスの活用)
Q
遠方に80歳代の両親が二人で生活しています。今までは二人で日常生活を送っていましたが、近頃は家の中で転倒しそうになったり、食事作りが面倒になったりしてきたようです。介護保険の認定を受けましたが「自立」でした。どんな対策をとったらよいでしょうか。
A
認定調査において「自立」と判定され介護保険の対象とならなくても、市区町村・民間サービス・ボランティア・NPO・生協などが行う自立高齢者向けサービスを利用できることがあります。
まずは、お住まいの地域にどのような高齢者サービスがあるのか情報を収集するところからはじめましょう。◎サービス例
- ●炊事や掃除
- 低料金で利用できる自治体や社会福祉法人による 家事援助ホームヘルプサービス
- ●安 否 確 認
- 見守りロボットや電気ポットなどを使用し、 日常の生活を見守るサービス
- ●緊 急 対 応
- 高齢者の自宅に通報装置を設置し、 緊急時に駆けつけを行うサービス
- ●リフォーム
- 住まいの手すり・段差解消スロープ等を 取り付けるなど、 市区町村の「住宅改修予防給付※」を 利用した 転倒防止対策
- ●配 食
- 栄養バランスのよい食事を 自宅まで届けてくれる宅配サービス
※65歳以上かつ介護保険の対象外で住宅改修が必要と認められる方に対し、 自治体が改修費の一部を助成する制度
介護保険で「自立」になった場合でも地域の介護予防プログラム(運動機能の向上・栄養改善・口腔機能の向上・アクティビティなど)が受けられる可能性があります。介護が必要な状態でないにしろ、少しずつ日常生活に不便が生じ始めていたら、お近くの地域包括支援センターへ相談してみてください。
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Q 最近よく聞く「見守りサービス」について教えてください
Q
車で2時間のところに住む両親。最近、二人して風邪をこじらせて寝込み、電話をかけても連絡がつかないということがありました。まだ元気だと思っていましたが、高齢なので心配です。最近よく聞く「見守りサービス」を検討しようと思うのですが、どんなものがありますか。
A
「見守りサービス」とは、センサーなどの機器を用いて高齢者が普段通りに過ごされているか、日常生活の様子を把握し見守るサービスです。お互いの生活を変えることなく、離れた場所から親の状況を確認できる便利な方法の一つとして普及し始めています。
急なケガや病気などに対応する緊急通報サービスとは異なり、「毎日」の暮らしの様子を知ることで、生活リズムの乱れや体調変化などの異変に早期に気づき対処することもできます。◎見守りサービスの一例
家電センサー型
ポットや冷蔵庫などの家電機器にセンサーが内蔵されていて、その使用状況を離れて暮らす家族の携帯電話やパソコンにメール送信するサービスです。
「毎朝ポットでお湯を沸かしていたのに、今日は使っていない」など生活状況を把握できます。人感センサー型
居間や寝室などよく過ごす場所に人感センサーを設置し、一定の時間動きを感知しなかった場合に家族に通知が届くものです。朝になっても起きた様子がない時などに、「念のため連絡してみよう」といった対処ができます。
カメラ型
通信機能を持つカメラを室内に設置し、インターネットや携帯電話のテレビ電話機能を通じて部屋の様子を画像で確認できるものです。マイク付の機器もあり、離れて暮らすご両親とコミュニケーションをとることも可能です。
対 話 型
毎日1回、オペレーターが指定された先に電話をかけ直接話しながら体調や生活の様子を確認し、その内容を家族に報告してくれるもの。相談したいことがあれば、ご両親から電話をかけることも可能です。
◎サービスを選ぶ際のポイント
●それぞれ(親・自分)の生活スタイルに合っているか
●提供サービスの内容が対応可能な地域か
●それぞれ(親・自分)がその機器を使いこなせるか(簡単に操作できる機器か)
●初期費用(機器の設置)や月々の支払料金等の負担
見守りサービスはこれがあれば大丈夫だというものではなく、家族との「つながり」をサポートするための一つのツールです。日頃からご両親とのコミュニケーションを深めておきましょう。
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Q 遠距離介護が始まりそうです、心得を教えてください
Q
遠方で暮らす両親が高齢になり、家事や外出が億劫になってきた様子。できる限り手助けしたいので、必要なことや準備しておいた方がよいことを教えてください。
A
年齢を重ねるにつれ身体機能が低下し生活も少しずつ変わっていくものですが、離れて暮らしていると変化になかなか気づきにくいものです。そこでまず遠距離介護を始める前に準備してもらいたいのが、ご両親の暮らしぶりを知ることです。
身体の状態はもちろん、日常生活のどこに負担を感じているのか、朝起きてから眠るまでどのように過ごしているのか、ご両親から話を聞きながら整理してみてください。今現在の生活を把握することで必要となる介護が見えてきます。こんな情報を得ておくと役立ちます
◎生活のこと
●普段の生活状況(家事・食事・睡眠・外出の頻度・趣味など)
●日常生活の中で不安や不便に感じていること
●友人や親せきとの付き合いなど
※生活支援サービスや機器の導入時、必要な支援を知るための“きっかけ” になることがあります。
◎健康・医療のこと
●身体の中で痛みを感じるところや動かしにくい場所
●既往歴(これまでの病気やケガ、手術の有無など)、いま治療中の病気の有無、かかりつけ医や服用している薬
●保険証やお薬手帳の保管場所
※お薬手帳には、かかりつけ医や飲んでいる薬が記載されているので必ず確認してください。できれば、医療費の負担割合もチェックしましょう。
◎お金のこと
●年金の額や定期的な収入、保険のこと介護が必要になったとき、どの程度お金をかけたいかなど
※無理に聞き出そうとすると信頼関係が崩れる恐れがありますので、様子を見ながら話をしてください。
介護が始まる前にご自分のことも考えてみましょう
終わりの見えない介護は、介護する側の負担も大きく心身共に疲弊してしまう方もいます。ご自分一人に大きな負担がかからないよう、下記の項目を参考にご自身の暮らしを再確認してみてください。
◎ご両親に対して自分ができること(月1回の帰省、週末の電話など)
◎兄弟姉妹や親族などで役割を分担できる人の有無
◎職場の理解、忙しさ(休みの取得)、転勤の有無
◎職場の介護支援体制の内容(費用助成、休暇の確保、相談窓口等)
◎お金のこと
●帰省費用の確保(電車、飛行機の割引等)
●親のサポートを負担できるお金の有無
一人で抱えず利用できる情報や知識を得る
遠距離介護をスムーズに行う際に鍵となるのが「情報」です。今は必要なくても、ご両親様がお住まいの地域で利用可能な支援サービスの有無や自治体独自の制度などの「情報」がどこで入手できるか、予め知っておくといざという時に慌てずにすみます。
◎地域包括支援センター
◎地域の社会福祉協議会
◎ボランティアセンター
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Q 田舎で一人暮らしをしている母を呼び寄せたい
Q
70代の母は、昨年父が他界してから自宅で過ごすことが多くなり、足腰も弱くなってきているようです。一人暮らしに不安を感じ始めている母が心配なため、これを機に呼び寄せて同居したいと考えています。田舎暮らしの長い母を呼び寄せる際のポイントを教えてください。
A
ご高齢の方は、長年住み慣れた土地を離れ新しい環境で暮らすことに二の足を踏むことが多いので、お母様を呼び寄せる際には十分な準備と配慮が必要となります。お母様の気持ちを理解し、少しでも不安を和らげ、スムーズに呼び寄せるためのポイントを紹介します。
呼び寄せを進める際のポイント
◎親と自分、家族の気持ちを確認する
同居、近居(マンション、戸建て、高齢者施設)など、どんな暮らしをしたいのか、お互いの希望や思いを確認し合いましょう。その際、迎え入れる側の家族(配偶者や子供、配偶者の親など)の気持ちを確認しておくことが大切です。
◎呼び寄せに必要な情報を整理する
親が日頃どんな暮らしをしているのか、健康状態(病気のこと、服薬・受診状況など)、呼び寄せにかかる費用、費用の分担、親の資産状況、諸手続きの方法など、呼び寄せに必要な情報を整理しましょう。
◎住環境の安全を整備する
呼び寄せ先の住環境が親の身体状態や生活スタイルに合っているか、危険な場所や不便な所などがないかを確認し、安全で暮らしやすい住環境に整備しましょう。
◎新しい環境に徐々に慣れてもらう
少しずつ新しい生活に慣れていけるよう、初めのうちは親の家と呼び寄せ先を行き来するなど準備期間を設けましょう。しばらく家を残しておくことで、いつでも戻れるという安心感が得られ気持ちも楽になります。
◎これまでの生活スタイルを維持する
新たな生活に馴染むまで、思い入れのある家具や使い慣れた電化製品を持ち込んだり、毎日の散歩や趣味を続けたり、これまでの習慣や生活スタイルが維持できるようにしましょう。
◎健康面のサポート体制を整える
服薬治療を受けている場合は、呼び寄せ先でも継続して治療を受けられるように医療機関を調べておきましょう。
呼び寄せ後のポイント
◎日頃からのコミュニケーションを大切にしましょう
生活リズムの違いに戸惑うなど同居の悩みが出てくることもあります。日常的にコミュニケーションを図ることでお互いの気持ちが伝わりやすくなり、わずかな体調の変化にも早く気づくことができます。
◎ご家族で役割分担をしましょう
呼び寄せ後はお互いにサポートし合うという気持ちが大切です。親も役割を得ることで、一方的にお世話になるという意識が和らぎ、気持ちも楽になります。最初に役割分担や家族間のルールを決めておくことをおすすめします。
◎地域とのつながりを持ちましょう
地域の活動や趣味のサークルに参加するなど、家族以外の人とのつながりを持つことで閉じこもりを防止し、新しい生活に馴染みやすくなります。
◎将来介護が必要になった場合に備えましょう
介護保険制度や地域のサービス、利用方法、相談窓口、施設情報などを調べておくと、親に介護が必要になった場合にも慌てずに対応でき、呼び寄せ後の生活の安心にもつながります。
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認知症
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Q 母のもの忘れが心配です
Q
一人暮らしをしている76歳の母。2年程前から何度も同じ事を話したり、聞いたりすることが増えてきました。以前と比べてもの忘れも目立ちます。認知症かもしれないと思うのですが、どう対応したらよいのか分かりません。
A
もの忘れといっても、その原因や状況は人によってさまざまです。加齢に伴って現れる自然なもの忘れと、認知症を原因とするもの忘れでは、治療方法や接し方などが異なります。
まず現在のお母様の体調や心の変化、日常生活(調理、掃除や買い物の様子)をよく観察して、認知症の可能性があるのか確認されることをお勧めします。認知症が心配になったときの対処法
◎医療機関への受診
認知症は早期発見、早期診断が大きな鍵を握ります。早期に適切な治療を始めることで症状の軽減や進行をゆるやかにすることができるからです。
また、認知症とよく似た症状が見られても他の病気ということも考えられます。医師に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらいましょう。◎受診のための準備
受診前に以下のようなことをメモにまとめておきましょう
●いつ頃(時期)からどのような症状が出現したか
●もの忘れの状況
●持病や飲んでいるお薬
●配偶者との離別、転居など環境変化の有無
◎家族だけで抱え込まない
認知症の人を家族だけで支えるのはとても大変なことです。悩みを抱え込まず、医療機関や地域包括支援センターなど地域の窓口に相談してください。
介護保険制度や福祉サービス、福祉用具などを組み合わせて、本人の状態や希望に合った介護計画を専門家と一緒に考えましょう。相談窓口
◎認知症疾患医療センター ◎認知症の人と家族の会
◎地域包括支援センター ◎認知症カフェ
◎市区町村の窓口、 保健所、保健センター
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Q MCI(軽度認知障害)の疑いがあると言われ、心配です
Q
70歳です。地域で開催していた「認知症講座」に参加した際、試しに認知機能テストを受けたところ、MCIの疑いがあると言われました。聞いたことのない言葉で不安です。
A
MCI(Mild Cognitive Impairment)=軽度認知障害とは、日常生活には支障なく身の回りのことはできているが、認知機能の一部が低下し始めている状態のことをさします。MCI(軽度認知障害)の基礎知識、改善・予防方法について紹介します。
MCI(軽度認知障害)の基礎知識
MCI(軽度認知障害)は基本的に日常生活への支障はなく病気ではありませんが、認知機能が低下し始めているため、何の対策もとらずにいると5年後に約半数の方が認知症を発症すると言われています。認知症予備軍と呼ばれることもあります。
これまで脳の機能は一度低下した後は回復しないと思われてきましたが、現在は年齢に関係なく鍛えることで回復したり、上昇したりすることが分かってきました。早期にMCI(軽度認知障害)に気づき、適切な認知症予防を継続的に行なうことが大切です。◎MCI(軽度認知障害)の改善・予防方法例
運 動
●早歩きや水泳、エアロバイクなどの有酸素運動を行なう
食 事
●塩分・糖質を控えたバランスのよい食事を心がける
●野菜やポリフェノールを含む果物、DHA、EPA を多く含む魚を食べる認知トレーニング
●パズル、囲碁、将棋、オセロなどのゲーム、読み書きや計算をする
生活スタイル
●家族や友人との会話など人との交流を楽しむ
相談窓口
◎地域包括支援センター
全国地域包括支援センター一覧 厚生労働省ホームページ
◎市区町村の窓口
◎もの忘れ外来などのある医療機関 など
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Q 母の資産管理方法について教えてほしい(家族信託)
Q
一人暮らしをしている母は、介護が必要になったら施設に入居したいと話しています。その時が来たら母の住まいを売却して施設の入居費用に充てる予定ですが、認知症などになると自宅の売却や預貯金の引き出しが難しいことが分かりました。「成年後見制度」の利用も考えましたが制約が多いと聞いたため、もう少し気軽に備えられる方法はありませんか。
A
「成年後見制度」ほどに面倒な手続きや制約が多くない財産管理方法として「家族信託契約」があります。親と子など家族間で信託契約を結んでおくことで、親の判断応力が低下することがあっても、子が代わりに親の資産を管理・処分することが可能になります。「家族信託契約」の仕組みや利用する際のメリットとデメリット、契約の流れなどを紹介します。
家族信託契約とは
家族信託は、原則、委託者(親など、財産を持っていて託す人)、受託者(子供など、財産を託され管理する人)、受益者(財産の管理処分で利益を得る人。同一人物が委託者と受益者を兼ねることができる)の3人で成り立っています。資産を持つ委託者は、受託者と信託契約を結び、自宅や保有財産の中から選択した財産管理を受託者に任せ、受益者が利益を受け取ります。
「家族信託契約」の利用を検討される際は、メリットとデメリットをしっかり理解することが大切です。メリット
●誰に何を頼むかを本人が自由に決められる
●健康な時はもちろん、判断能力が衰えてきた時や 死亡後も含めた対応が可能
●財産を本人や本人以外の人(子や孫など)のために使うことができる
●ランニングコストがかからない
デメリット
●財産を任せられる信頼できる家族や親族の存在が不可欠
●形式上の名義変更が必要
●財産管理に限定されるので、身上監護は別途対応が必要
●受託者に契約を取り消す権限はない
相談から契約までの流れ
「家族信託契約」を利用するには、判断能力を喪失する前に委託者と受託者の間で信託契約を締結する必要があります。
1 家族信託の目的を明らかにする
●願いや想いの整理 ●財産の把握 ●信託する範囲 ●財産を託す人・託される人・利益を受ける人の確認 など
2 家族信託契約書を作成・締結する
●専門家への相談・見積依頼、金融機関などの関係各所との調整 ●契約書・公正証書の作成 ●公証役場での手続き など
3 各種手続きをする
●信託登記 ●金融機関での信託用の口座を開設・金銭の移動 ●口座振替の変更手続き ●保険会社への連絡 など
相談窓口
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Q 親の財産を守る方法を知りたい(成年後見制度)
Q
認知症を患っている母が最近、悪質な訪問販売にあってしまい、布団や家電製品など350万円の被害を受けました。ケアマネジャーから成年後見制度の利用を勧められましたが、どのような制度なのでしょうか。
A
「成年後見制度」は、認知症などによって判断能力が低下した方に代わって、家庭裁判所が選んだ支援者(後見人等)が財産や生活を守り、法的に支援する制度です。本来、お子さんであっても親の財産や資産を管理したり、売買行為を破棄したりすることはできませんが、この制度を利用することで悪質な訪問販売や詐欺の被害を防ぐことも可能です。
成年後見制度の利用方法と利用する際の注意点、相談窓口などについて紹介します。成年後見制度の利用方法
成年後見制度は支援を受ける人の判断能力の程度に応じて、「後見・保佐・補助」の3種類に分けられます。それぞれ「後見人・保佐人・補助人」という支援者が家庭裁判所から選任され、財産や暮らし、療養に関する手続き(法的な行為)を本人に代わって行います。
利用する際には、診断書や戸籍謄本などの書類を揃え、支援を受ける人の居住地域を管轄する家庭裁判所に申立(申請)を行います。申立ができるのは、本人・配偶者、4 親等以内の親族、地方自治体の首長などです。◎利用できる人(被後見人 〈支援を受ける人〉)
判断能力が不十分、著しく不十分、全くない方
◎支援者(後見人等〈後見人・保佐人・補助人〉)になれる人
原則はどなたでもなれます。
※本人に対して訴訟を起こしている場合や破産者はなれません。◎申立にかかる費用
申立には7~8千円ほどの費用がかかります。専門医による鑑定の必要がある時は約5~10万円が別途かかりますのでご注意ください。
◎後見人等の選任
申立を受けた家庭裁判所は、支援を受ける人の判断能力の程度や財産の状況など必要な調査を行い「後見人等」を選任します。
利用する際の注意点
◎申立から支援開始まで時間がかかる
申立手続きから後見人等が選任されるまで平均2ヶ月程かかります。
申立の手続きも複雑なため、相談窓口を活用しましょう。◎後見人等は、家庭裁判所へ報告する義務がある
親族が後見人等になっても、きちんと収支の内容を整理し、定期的に家庭裁判所に報告しなければなりません。
◎一度後見人等になったら、簡単に辞めることはできない
支援を受ける人が亡くなった、自分が病気になってしまった等、継続できない正当な理由がないと辞めることができません。
◎後見人等でもできない行為がある
遺言書の作成や書き換え、結婚・離婚の手続き、医療行為への同意(手術、治療など)は後見人等であっても本人に代わって行うことはできません。
◎後見人等の一存では決められないこともある
自宅などの居住用不動産を処分する時は必ず、家庭裁判所の許可が必要となります。
また、資産が高額な場合や不動産の処分をする際は、弁護士などの専門職が成年後見監督人として選任され、その同意を得なくてはなりません。相談窓口
◎地域包括支援センター
◎公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート
TEL:03-3359-0541(代)◎日本弁護士連合会・ひまわりお悩み110番
TEL:0570-783-110◎公益社団法人日本社会福祉士会 権利擁護センター「ぱあとなあ」
TEL:03-3355-6546◎日本司法支援センター 法テラス
TEL:0570-07-8374◎裁判所 後見ポータルサイト
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介護と仕事の両立
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Q 両親の介護のために、仕事を辞めて実家に帰るべきでしょうか
Q
遠方に住む70代の両親。父は要介護2で生活全般に支援が必要です。一人で父の世話をしていた母が先日転倒し、腕を骨折しました。二人の生活を支えるため、息子である自分が実家に帰るべきなのか悩んでいます。妻も仕事をしており、子供もまだ就学中です。
A
ご家庭により事情はさまざまですが、仕事を続けながらでも遠方の両親をサポートすることは可能です。ご両親の介護生活を支えるための知識、仕事と介護を両立させるノウハウを紹介します。
介護体制を整える準備
まずご両親の介護生活を支えるために一時帰省する際、地域の相談窓口や、福祉サービスの情報をできる限り集めましょう。ケアマネジャーのアポイントメントも、事前に段取りしておけば時間のロスが少なくなります。ケアマネジャーに相談する際には、仕事と介護を両立したいという要望をはっきりと伝えましょう。
困った時に頼りにできる親戚や近所の方とも顔を合わせ、ご両親を多方面から支える環境を整えることも大切な準備です。◎一時帰省時の行動例
●ご両親に今後の暮らし方の希望を確認
●主治医、ケアマネジャーとの面談
●介護保険認定調査の立ち会い、生活支援サービスを受けるための準備
●見守りサービス、配食サービスの利用手続き
●今後を見据え、高齢者施設などの情報を収集
社員の介護生活を支援する制度
仕事を続けながら介護をする人のために、企業には「育児・介護休業法」に基づき「介護休暇・介護休業制度」の設置が定められています。また、法定を上回るサポート制度(在宅勤務や休業できる日数の拡大など)を設ける企業も増えつつあります。
結論を急がず、使える制度や福利厚生について担当部署に相談しましょう。◎制度例
●介護休業 ●介護休暇 ●勤務時間の短縮措置
●法定時間外労働の制限 ●深夜業の制限 ●転勤に対する配慮
●不利益な取り扱いの禁止 ●介護休業給付金仕事と介護の両立に欠かせない職場の協力
一時的にでも仕事を離れることには不安が伴うものです。職場でプライベートな話題を出すことに抵抗があるかもしれませんが、できる限り上司や同僚とコミュニケーションを取り、業務の調整や、自分の状況についてオープンに話しておくことが大切です。「通院の付き添いで月に一度仕事を休む」「親の具合が悪く急な呼び出しがあるかもしれない」などと伝えておくと、周囲の協力も得やすくなります。
介護の相談窓口
◎市区町村の介護保険課、高齢者福祉課
◎地域包括支援センター
◎担当のケアマネジャー
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Q 育児と介護と仕事を両立できるのか、不安です(ダブルケア)
Q
一人暮らしの母(72歳)が初期の認知症と診断されました。現在の症状はもの忘れ程度なので生活に大きな支障はありませんが、いつ介護が必要になるのか分かりません。現在、6歳と3歳になる娘の育児に追われながらも仕事を続けていますが、さらに親の介護が加わった際、仕事を続けていられるのか不安です。
A
日本では晩婚化の影響で出産年齢が高くなったことにより、子育てと親の介護を同時に担うケースが増えています。しかも子育て世代は仕事においても現役です。
介護が始まると、忙しさと心労で疲れきってしまい、精神的にも追いつめられてしまうことも少なくありません。このような状態を防ぐためにも、生活の工夫や必要な準備を少しずつ進めていくことが大切です。育児・介護・仕事を同時に担うための準備
◎子供を預かってもらえる場所を確保する
親が体調を崩した時等に子供を預かってもらえる場所を探しておくと安心です。「ファミリーサポートセンター」や「保育ママ」、「学童保育」、「ベビーシッターサービス」等、地域にどのようなサービスがあるのかを調べ、費用や利用方法などを確認しておきましょう。
◎家事の時短など、生活の工夫をする
ロボット掃除機や洗濯乾燥機等の家電を利用したり、料理キットの宅配サービスを利用したり、効率よく家事をこなし時間と労力を軽減する工夫をしてみましょう。それでも難しい場合は家事代行サービスを利用するのもいいかもしれません。
◎配偶者と家事・育児の分担をする
共働きの場合、家事は分担するのが基本です。保育園や幼稚園の送迎、お風呂に入れる、勉強をみる、ごみ捨てをする等、一つ一つ項目を出しながらお互いにできることを分担していきましょう。
子どもが発熱した時の急な対応などについても、話し合っておくことを忘れないでください。◎子供とのスキンシップを大切にする
仕事と子育ての両立だけでもとても大変ですが、さらに親の介護が加わると子供たちと触れ合う時間が少なくなってしまいます。
子供を抱きしめる、大切だと思っていることを伝える等、子供とのスキンシップだけは忘れないようにしましょう。◎親が元気なうちに介護について話し合う
親の暮らしの現状と介護が必要になった時の希望を確認すると同時に、兄弟など他の家族とも介護が必要になった時の負担や分担について話し合いましょう。介護に使えるお金も確認しておくことが大切です。
◎介護保険制度や親の暮らす地域にある介護サービスを知る
介護保険の申請方法や利用できるサービス、費用など、介護保険制度の概要を理解しましょう。また、親の居住地を管轄する地域包括支援センターや自治体サービスなどの情報についても事前に調べておきましょう。
◎働き方を見直す
業務内容の見える化、共有化、仕事の効率化を心掛けましょう。介護が始まってからは、勤務時間の短縮や業務内容の整理等、働き方を見直すことも必要となります。会社の支援制度も早めに確認しておきましょう。
相談窓口
【介護】
◎市区町村の介護保険課、高齢者福祉課
◎地域包括支援センター
◎担当のケアマネジャー
【育児】
◎子育て世代包括支援センター
(全国296市区町村・720ヶ所。2020年3月までに全国設置予定)◎保健福祉センター、保育課
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医療
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Q 自宅で訪問診療を受けたい
Q
車いすで生活している父が肺炎のため入院しています。先日、医師から退院の話がでました。病院で行なっている酸素療法が自宅に戻ってからも必要なようで、父の体調管理や酸素管理などに不安があります。主治医から自宅に医師が来てくれる医療サービスがあると聞いたのですが、父も利用できるのでしょうか。
A
お父様のように病院に通うことが難しい方のために、医師が定期的に訪問して診療してくれたり、急変時に往診をしてくれる医療サービスがあります。
訪問診療 医師が自宅に訪問し、定期的・計画的な診療(多くは月に2回、
体調が不安定な場合は4回)や健康管理を行う往 診 訪問診療を受けている方が急変や具合が悪くなった時に、患者や
ご家族の求めに応じて医師が自宅に訪問し、診療(往診)を行う- 訪問診療
- 医師が自宅に訪問し、定期的・計画的な診療(多くは月に2回、体調が不安定な場合は4回)や健康管理を行う
- 往 診
- 訪問診療を受けている方が急変や具合が悪くなった時に、患者やご家族の求めに応じて医師が自宅に訪問し、診療(往診)を行う
訪問診療で受けられる主な医療行為
●血液検査、尿検査、超音波検査、心電図検査
●点滴
●酸素療法
●褥瘡処置
●カテーテル管理
●経管栄養(胃ろうなど)の管理
●中心静脈栄養(高カロリー輸液)の管理
●悪性腫瘍(がん)の疼痛管理
●看取り訪問診療を利用する場合の流れ
1 医療機関を選ぶ
訪問診療医は患者が自由に決めることができます。
自分で探すことが難しい場合は、 主治医や入院先の地域連携室に相談すると 患者やご家族の状況に応じた医師の紹介が受けられます。2 療養方針を決める
訪問診療医が決まったら、退院前に患者の在宅生活を支える関係者が集まりカンファレンスを行い、情報共有や役割分担、今後の自宅での療養方針について話し合います。
3 療養計画の作成、支援体制を整える
療養方針を基に、患者本人やご家族の希望、生活環境などを踏まえて療養計画を作成します。
住環境の整備や福祉用具、介護サービス等の利用が必要な場合は、ご本人やご家族、訪問診療医、ケアマネジャー、サービス事業者等が相談しながら包括的な支援体制を整えます。
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Q このまま入院をしながらリハビリを継続したい
Q
4か月ほど前に脳出血で倒れた父には、右半身麻痺と味覚障害の後遺症が見られます。元の生活を取り戻すために懸命にリハビリに励んでいますが、リハビリテーション病院の医師からはこれ以上の入院は難しいと言われました。
入院を継続してリハビリを続ける方法はないのでしょうか?A
医療保険で受けられるリハビリ日数には上限があるため、お父様やご家族が希望されても入院を継続することはできません。脳出血を患った方が医療保険でリハビリを受けられる期間は150日、高次脳機能障害を伴った重篤な脳血管障害でも最大180日のため、多くの方が十分な期間を確保できないまま退院を迎えているのが現状です。
一般的なリハビリの流れと受けられるリハビリの内容
急性期 回復期 維持期 期 間 治療後2~4週間 治療後1~6ヶ月 回復期以降 目 的 ・廃用症候群の予防
・早期離床
・早期ADL訓練 など・心身機能の回復
・ADLの向上
・在宅復帰支援 など・回復した機能の維持、向上
・ADLの維持、向上
・QOLの改善 など
場 所 治療を受けた病院 ・リハビリ専門病院
対象者:専門的なリハビリを受ける必要がある疾患の方
入院期間の上限:60~180日(ケガ・病気・障がいの種類によって異なる)
・地域包括ケア病棟
対象者:在宅復帰を目指す方
入院期間の上限:60日
【施設入居】
・介護老人保健施設
・療養型医療施設など
【在宅生活】
・外来でのリハビリ
・訪問、通所リハビリなど
保 険 医療保険 医療保険 医療保険
介護保険退院後もリハビリを続ける方法
リハビリテーション病院を退院し、維持期に入ると、要介護認定を受けている方のリハビリは「医療保険」から「介護保険」へと移行されます。原則、介護保険が優先されるため、介護老人保健施設への入居や介護保険における訪問・通所リハビリ等を勧められることが一般的です。同じリハビリであっても、維持期のリハビリ目的はあくまで現状維持のため、病院で受けていたような積極的なリハビリが行われることはほとんどありません。
◎医療保険で継続する場合
医師が、治療を継続することにより身体機能の改善が期待できると判断した場合は、リハビリの算定日数(150日・180日)を超えてもリハビリが受けられることがあります。
リハビリを受けられる場所・サービス 自 宅 ●リハビリテーション科(外来通院) ●訪問歯科診療 など 施 設 ●医療療養病床 など ※原則、医療保険と介護保険は併用できません。
◎介護保険で継続する場合
介護保険でのリハビリは、介護認定を受けている方が受けられるリハビリです。
介護保険では通って行う通所リハビリとご自宅で行う訪問リハビリ、施設に入所して行うリハビリ等があります。
医療保険とは異なり、受けられる疾病の種類やリハビリの日数に制限はなく、必要性があれば誰でも利用することが可能です。リハビリを受けられる場所・サービス 自 宅 ●訪問リハビリ ●訪問看護 ●通所リハビリ(デイケア)
●通所介護(リハビリ特化型) サービス など施 設 ●介護老人保健施設 ●介護療養型医療施設
●有料老人ホーム など※リハビリを受けるためには医師の指示書が必要となります。
◎自費で継続する場合
自費リハビリとは、医療保険や介護保険等で提供されるリハビリではなく、全額自己負担で受けるリハビリを指します。日数等に制限はなく、自由に事業者を選択することができます。
自費リハビリは、公的保険でのリハビリでは足りないと感じる方の受け皿として需要が伸びていますが、高額になるため経済力に左右されるほか、価格に見合うだけの価値があるかを見極めることが難しいといった課題もあります。
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Q 新型コロナウイルスの影響で通院ができず困っています
Q
私は高血圧の持病があり、毎月、内科を受診しています。現在、新型コロナウイルス感染への不安から通院を控えていますが、もう少しで薬がなくなってしまうため困っています。通院せずに薬をもらう良い方法はありませんか?
A
新型コロナウイルスの影響により、病院への受診や持病薬の処方にお困りでいらっしゃることと思います。現在、スマートフォンやパソコン等を通じておこなうオンライン診療や電話による診療が広がっています。処方箋も発行されますので、利用をご検討ください。
電話・オンライン診療について
これまでオンライン診療をおこなっている医療機関は数が少なく、初診での利用ができませんでした。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大防止により、電話やスマートフォンなどの情報通信機器を用いた診療等が、初診から限定的に可能となるなどの条件が緩和され、オンライン診療の利用が広がっています。
また、薬も医療機関が患者の希望する薬局に処方箋をFAX等で送付することにより処方してもらえます。●「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や 情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」
厚生労働省(令和2年4月10日事務連絡)
◎電話・オンライン診療のご利用の流れ
1. 電話・オンライン診療をおこなっている医療機関を探す
●かかりつけ医に連絡
まずは現在利用しているかかりつけ医にご相談ください。電話やオンラインによる診療をおこなっているか、病院に行かなくても薬の処方が可能かを確認しましょう。
※医療機関に連絡をする際は、診察券、健康保険証、お薬手帳、最寄りの調剤薬局の連絡先を手元に用意しておくとスムーズです。●電話・オンライン診療対応医療機関リストから探す
電話やオンライン診療対応の医療機関を確認できる便利なサイトがあります。受診したい医療機関の対応確認や、自宅周辺の医療機関を探したい場合にお勧めです。
・「新型コロナウイルス感染症の拡大に際して、電話やオンライン診療対応医療機関リスト」
厚生労働省・「全国オンライン診療・電話診療対応可能医療機関マップ」
ジャックジャパン株式会社●オンライン診療サービスアプリを活用して探す
オンライン診療サービス専用のアプリが増えています。アプリをインストールしてユーザー登録をすると、オンライン診療に対応している医療機関を検索することができます。予約から問診、診察、決済までの一連の手続きが簡単におこなえます。
<おもなオンライン診療アプリ>
※ご利用にはアプリ(無料)のダウンロードが必要です。・「CLINICS(クリニクス)」 株式会社メドレー
・「curon (クロン)」 株式会社MICIN
・「PocketDoctor (ポケットドクター)」
MRT株式会社×株式会社オプティム・「YaDoc(ヤードック)」 株式会社インテグリティ・ヘルスケア
2. 予約をする
●電話の場合
医療機関に直接連絡し、予約を取りましょう。手元に健康保険証や診察券(お持ちの場合)があると予約がスムーズにおこなえます。
●オンラインの場合
医療機関によって予約方法は異なります。詳しくは各医療機関のホームページをご覧ください。
※予約の際に支払方法についても確認しましょう。3. 診察を受ける
予約時間になったら医師から着信があります。応答すると診療が開始されますので、気になる症状やこれまでの経過などを具体的に説明しましょう。その際、持病や通院状況、飲んでいる薬なども忘れずにお伝えしてください。
※電話の方は音量、オンラインの方は通信環境(電波状況、Wi-Fi接続等)などを事前に確認しておきましょう。4. 診察が終わったら
●会計の方法は医療機関により異なりますので、指示に従ってお支払いください。
●医療機関での検査や診療を勧められた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
●薬の処方を受けた場合は、医療機関に希望の調剤薬局を伝えましょう。指定した薬局の指示に従って薬を受け取ってください。
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お金
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Q
医療費負担を減らしたい
Q
関節リウマチが悪化し、母が手術を受けることになりました。普段からいくつも病院に通っているため、医療費の負担が大きいと感じていましたが、入院、手術となるといくらかかるか心配です。母の医療費負担を減らす方法はありませんか?
A
高齢になると複数の医療機関を受診している場合が多いかと思います。さらに入院となると、その後の通院治療も含め医療費が心配ですよね。公的な医療保険制度が充実している日本では、月あたりの医療費が高額になった場合に、負担を軽減できる制度がありますので、制度の概要や申請方法等についてお伝えします。
高額療養費制度
「高額療養費制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払うひと月(1日から月末まで)の医療費が高額になった場合に、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される制度です。
1回の支払いで上限額を超えない場合でも、同じ月に別の病院で受診した負担分や同じ健康保険に加入している家族の負担分も合算でき、合算額が限度額を超えれば払い戻しが受けられます。ただし、合算できる医療費は、70歳未満の場合自己負担額2万1,000円以上のものに限られます。
もし、入院などで事前に高額な医療費がかかることが分かっていれば、加入の医療保険からあらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受けておくことをお勧めします。医療機関の窓口に限度額適用認定証を提示することで、支払う医療費がはじめから自己負担限度額までに抑えられます。高額療養費制度を利用するために
限度額適用認定証の申請と窓口支払いまでの流れ
「限度額適用認定証」は、ご自身が加入している医療保険(健康保険組合・市町村国保・後期高齢者医療制度・共済組合など)の窓口に申請をして発行してもらいます。郵送で申し込む場合は、数日かかることがありますので、入院の予定が決まったら早めに手配しましょう。
*「限度額適用認定証」の適用は申請した月の1日からとなります。
前月に遡及して適用することはできませんので、月をまたいだ入院等の場合は申請時期に注意してください。*「限度額適用認定証」には有効期間(概ね1年間)があります。
過去に交付を受けていた方は、医療機関の窓口に提出する前に有効期間内かを確認しましょう。*自己負担上限額は、年齢と所得区分に応じて変わります。
ひと月の「自己負担上限額」
高額療養費に含まれない費用
高額療養費に含まれるのは、健康保険が適用される医療費のみです。入院や手術でかかった費用すべてに適用されるわけではないので注意しましょう。
例えば、入院時の食事代や差額ベッド代、日用品費(パジャマ等のリース代やおむつ等)、先進医療や健康保険が適用されない自由診療などは対象外となります。申請方法
高額療養費は、申請書を提出することで支給が受けられますが、申請方法は、ご自身が加入している医療保険によって異なります。高額療養費の支給を受ける権利は、診療を受けた月の翌月の初日から2年間ですので、期間内に忘れずに申請をするようにしてください。
申請に必要な書類は医療保険によって異なりますが、領収書の添付が必要になる場合がありますので、医療機関にかかった際の領収書はなくさずに保管するようにしましょう。
高額療養費の払い戻しは、診療を受けた月からおよそ3カ月後になります。詳しい情報は、保険証に記載されている健康保険組合や共済組合、市町村のホームページなどで確認してください。
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