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<施設見学レポート>高齢者向け施設の見学レポート

介護付有料老人ホーム

ウェルケアガーデン深沢

外観(公式ホームページより)

エントランス(ケアデザイン室撮影)

フジサンケイグループが手掛ける介護付有料老人ホーム

 「ウェルケアガーデン深沢」(以下、「深沢」)は、2018年に世田谷区深沢一丁目に開設された介護付有料老人ホームである。駒沢公園の南側に位置する都内でも有数の高級住宅地に建ち、周辺は落ち着いた静かな環境が広がっている。
 ホームを運営するのは、2011年に設立したフジサンケイグループの株式会社サンケイビルウェルケア(本社:東京都千代田区)で、東京を中心とした関東エリアに介護付有料老人ホーム7棟と住宅型有料老人ホーム1棟を開設している。

  • 深沢の地にふさわしい上質な住空間

    ロビー(ケアデザイン室撮影)

    ロビー(ケアデザイン室撮影)

     建物の外観はガラスを多用したモダンでスタイリッシュなデザインとなっており、優れた建築物に与えられる世界のアワードで2018年、数々の賞を受賞した。

    ライブラリー(ケアデザイン室撮影)

    浴室(ケアデザイン室撮影)

     建物は、鉄筋コンクリート造の地下1階地上3階建で、1階には2層吹抜けのガラス張りのロビーやファミリールーム、ライブラリー、機能訓練室、レストラン、中庭、浴室等の共用施設がある。ロビーはコンサートなどのイベントにも利用されており、自然光がたっぷりと降り注ぐため明るく温もりを感じる空間となっている。また、ロビーやダイニングから眺める中庭には30種類以上の草花が植えられ、日々の生活に彩りを与えてくれる。
     ゆったりとくつろげるライブラリーには青山ブックセンターが選書した書籍が並び、ご入居者はいつでも自由に読書を楽しむことができる。本は定期的に入れ替えられるため読書好きの方には嬉しいサービスである。
      共用で利用する浴室は、一人で安全に入浴を楽しみたいという希望を叶えられるように入浴動作がしやすい自立支援型ユニットバスと浴槽の高さを利用者に合わせて変えられる可動式入浴台を採用している。共用トイレは、扉を開けても目の前に便座が見えない設計となっており、介助が必要なご入居者にも細やかな配慮がなされている。

     「深沢」では、建物の美観やサービスの質が損なわれないように月に1度社内の品質管理部による厳しいチェックが行われている。そのため、スタッフは常に整理整頓や清掃、接遇に至る細部にまで配慮し、ご入居者が快適に暮らせるように環境作りを行っている。

  • 配慮が行き届いたプライベート空間・入居にかかる費用

    居室(ケアデザイン室撮影)

    洗面(ケアデザイン室撮影)

     居室フロアは1~3階で、全96室。すべて1Rタイプの個室となっているが、隣接のシングルルーム2部屋をコネクティングルームとして利用することも可能だ。改装工事に掛かる費用はホームが負担してくれる。
     居室内には、洗面台・温水洗浄機能付トイレ・エアコン・クローゼット・床暖房・緊急ボタン・居室内見守りシステム・介護用ベッド等が設けられている。トイレは、きちんと座って姿勢が保てるように低めの高さの便座を採用し、できる限りご自分で排泄ができるように配慮されている。居室の出入口は、快眠・熟睡のために遮音ドアを採用しており、夜中の人の声や物音を抑えることができる。実際に室内側の扉近くに立って確認したが、昼間にもかかわらず、廊下で話す人の声が全く聞こえなかった。さらに、ドアの間口が広くとられており車いすでの出入が容易に行えるだけでなく、ドアクローザーの設置によりゆっくりと閉まるため安全である。

    トイレ(ケアデザイン室撮影)

    玄関・収納(ケアデザイン室撮影)

     費用は、入居時にかかる費用と月額費用があり、入居一時金を支払う「標準プラン」と賃料月払いの「0円プラン」から選択することができる。
     入居時にかかる費用は、「標準プラン」の場合、90歳未満は2,890万円(初期償却730万円、償却期間5年)、90歳以上は2,320万円(初期償却592万円、償却期間4年)で入居時の年齢によって異なる。「0円プラン」の場合は、敷金として251万円(家賃の5か月分、退去時に残債相殺後に返還)が必要となる。
     月額費用は、「標準プラン」の場合、279,240円(内訳:管理費114,000円、水道光熱費5,400円、食費84,240円、上乗せ介護費75,600円)、「0円プラン」の場合は、804,240円(内訳:家賃502,000円、管理費137,000円、水道光熱費5,400円、食費84,240円、上乗せ介護費75,600円)。両プランともに介護保険自己負担分、医療費、日用品等の費用が別途必要となる。

  • 新しい介護のカタチ「自立支援介護」

    24時間看護師がお見守り(公式HPより)

    オリジナルのテーブル&椅子(ケアデザイン室撮影)

     「深沢」では、介護スタッフと看護師が24時間常駐しており、ご入居者2名に対して1名と介護付有料老人ホームの基準(ご入居者3名に対して1名)より手厚い体制を整えている。看護師が24時間常駐しているため、夜間や緊急時にも医療機関と連携をしながら迅速な対応が行える。また、寝たきりなどの重度の介護や認知症状があっても看取りまで対応しているため、最期まで住み続けることができる。

     介護に関しては、国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁教授指導のもと、「自立支援介護」に積極的に取り組んでいる。介護を必要とされる方への身体的・精神的・社会的なサポートとして、「自立支援介護」の4つの基本である①水分(1日、1,500ml以上の水分摂取) ②食事(常食で1日、1,500kcal以上の摂取) ③運動(主に歩行) ④排便(下剤に頼らないトイレでの自然排便)を実践している。
      例えば、1日1,500ml以上の水分摂取を促すことで昼間の覚醒時間が増え、夜間の安眠や自然な排便につながり、入居後に要介護度5から1へと介護度が改善した方がいた。また、機能訓練やそしゃくの練習などの取り組みを行ったことで、胃ろうの方が常食に戻る等、身体機能が改善した事例も多いとのこと。ホーム全体で目標や意識を統一し、ご入居者やご家族の希望に寄り添いながら努力を積み重ねていることが、このような結果につながっているのであろう。
      また、サポート体制だけでなく、立ち上がりや正しい姿勢で座位を保ちやすいようにオリジナルデザインの椅子を採用する等ハード面からもサポートしている。

    ※胃ろうは、チューブで胃に直接栄養を送り込むための穴のことを指します。胃ろうを通じて栄養剤を胃に流し込み栄養補給を行います。

    コンサート<イメージ>(公式HPより)

    アクティビティ<デコパージュ>(公式HPより)

     アクティビティは毎日行われており、企画・運営はコンシェルジュが担当している。午前に体操、午後に茶話会や朗読会、フラワーアレンジメント、筆ペン、水彩画、脳トレなどバラエティに富んだ内容となっており、散歩や買い物といった外出イベントやコンサートも開催されている。

     現在、ご入居者の平均年齢は82.7歳、自立の方は2名、男女比は1:2。近隣からの入居だけでなく、世田谷・目黒区在住のご家族からの呼び寄せで、地方から入居される方も多い。

  • 機能回復を目指すパワーリハビリテーション
    季節を感じる美味しいお食事

    パワーリハビリテーション(「ケアデザイン室」撮影)

    パワーリハビリテーション(「ケアデザイン室」撮影)

     「深沢」では、ご入居者の日々のデータ(運動量の把握、身体機能の評価・食事内容・内服薬・睡眠状況・水分摂取量・排泄状況など)を分析し、ご希望に合わせて、無理なく効果的に改善していくことをリハビリの目標としている。

     ホームには機能訓練士が常駐し、ご入居者は週2~3回個別機能訓練を受けることができる。ここでは、「パワーリハビリテーション」を実践しており、専用のトレーニングマシンを用いた低負荷の動作を繰り返す「低負担反復運動」を取り入れている。これは、筋力を強化するトレーニングではなく、全身の眠っている神経や筋肉を適度な負荷で呼び覚ます高齢者に効果的なリハビリテーションの手法としても注目されている。
      その他、近隣の事業所によるリハビリテーション(自費)を組み合わせて利用することも可能だ。

    ライブラリー(ケアデザイン室撮影)

    浴室(ケアデザイン室撮影)

     お食事は、美味しさはもちろんのこと、安心・安全な食材を使用し、器や盛り付けにもこだわり目からも楽しめるよう配慮している。メニューは、昼食と夕食は1種類のみであるが、朝食は和食と洋食から選択できる。飽きのこないように考えられた日々の献立や季節のイベントメニューの他、本格的なフレンチや松花堂弁当なども事前に注文すれば別料金で対応してくれる。見学時に試食したメニューは、寒鰤大根、蓮根と春菊のナムル風、ひじきの炒り煮、御飯、味噌汁であったが、寒鰤大根は味が良くしみていて、味噌汁は塩分を控えながらもきちんとお出汁をとることでしっかりとした味付けになっており、大変美味しくいただくことができた。

  • スタッフ・研修・まとめ

    コンシェルジュ(公式HPより)

    2階リビングダイニング(ケアデザイン室撮影)

     ホームには介護スタッフと看護師の他、受付や来客対応、レクレーション等を担当するコンシェルジュがおり、ホーム内のアクティビティとは別にコンサートや観劇、買い物等、ご入居者個々の要望に合わせたプランニングをしている。
      また、ご入居者のサポートをトータルにコーディネートするケアディレクターというサンケイビルウェルケア独自の職種を設けている。特に特定の資格は定めていないが、全員が独自の研修を受講している。
      グループ全体では、新卒のスタッフを3年前から毎年15~16名採用し社内で教育している。新入社員研修は1ヶ月間(宿泊あり)、新卒・中途採用ともにOJT研修を実施している。外部の研修として、医療福祉関係者のための生涯学習コースを開催している「乃木坂スクール」(国際医療福祉大学大学院)にも積極的に参加してもらっている。

    中庭(ケアデザイン室撮影)

     株式会社サンケイビルウェルケアはフジサンケイグループのシニア事業を推進するため2011年4月に設立された。運営するホームの最大の特長は、ご入居者の意欲や生きがいにつながる「自立支援介護」への取り組みであり、多くの改善例によりご入居者やご家族から高い評価を得ている。
     取り組みの一つとして、毎年行われている「ウェルケアグランプリ」では各ホームの事例が発表され、取り組みのプロセスやアプローチ方法等をホーム全体で共有している。学ぶことや日々の介護に活かせる内容も多く、スタッフの知識向上ややりがいにもつながっているようだ。
     有料老人ホームに入居すると安全を第一優先とするあまり高齢者のできる機能を奪ってしまう介護が行われる傾向があるが、ウェルケアガーデンでは、これまでの介護のやり方を見直すことで成果を上げている。
     ご入居者が最期まで自分らしく自立と尊厳のある暮らしを過ごせるよう「自立支援介護」が「新しい介護のカタチ」として全国に広がることが期待される。

【施設概要】

住  所
東京都世田谷区深沢1丁目32-18
最 寄 駅
東急東横線「都立大学」駅より徒歩16分
種  別
介護付有料老人ホーム
敷地面積
3,390.69㎡
延床面積
4,628.50㎡
建  物
鉄筋コンクリート造 地上3階地下1階
事業主体
(株)サンケイビルウェルケア
権利形態
利用権方式
入居要件
年齢65歳以上の要介護の方
居 室 数
96室(定員96名)
居室面積
20.29㎡~20.43㎡
入 居 金
◎標準プラン
90歳未満:2,890万円(初期償却:730万円、償却期間:5年)
90歳以上:2,320万円(初期償却:592万円、償却期間:4年)
◎0円プラン
敷金として、251万円(家賃の5か月分、退去時に全額返還)
月額利用料
◎標準プラン:279,240円
(内訳:管理費114,000円、水道光熱費5,400円、食費84,240円、
 上乗せ介護費75,600円)
◎0円プラン:804,240円
(内訳:家賃502,000円、管理費137,000円、水道光熱費5,400円、
 食費84,240円、上乗せ介護費75,600円)
公式サイト
http://www.sankeiwellcare.com/fukasawa/

(2018年8月時点の内容です)

※このレポートの情報には細心の注意を払っておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。
また、このレポートはケアデザインが見学した施設の情報を簡易にまとめたものであり、 これをもって当方による推薦・紹介等を意図したものではありません。