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<施設見学レポート>高齢者向け施設の見学レポート

介護付有料老人ホーム

アライブ世田谷代田

外観(アライブ世田谷代田より提供)

入口

セコムの最新技術を盛り込んだアライブシリーズの最高峰

 セコムグループの(株)アライブメディケア(東京都渋谷区)は、1999年の「アライブかながわ」(神奈川県相模原市)を皮切りに都心部の閑静な住宅街を中心に同社の経営理念である「最高のサービス」を追求した施設を展開している。
 同社はアライブシリーズとしては2年ぶり、9施設目となる「アライブ世田谷代田」(東京都世田谷区)を2012年11月1日にオープンした。

 「アライブ世田谷代田」は、「セキュリティ」「医療連携」「環境面への配慮」それぞれの面で最先端技術を豊富に盛り込んだ点はもちろん、自治体(世田谷区)との地域連携や災害発生時の防災対策が強化された介護施設となっていることが最大の特徴だ。
 富裕層をターゲットとした施設が密集する競合エリアではあるが、セコムグループの技術を結集したハイレベルな内容をアピールすることで、顧客への浸透を図っている。

エントランスホール

  • 共用施設、居室、費用

    ラウンジ

    中庭(アライブ世田谷代田より提供)

     「アライブ世田谷代田」は、「アライブ世田谷下馬」、「アライブ世田谷中町」に続いて、世田谷区で3ヶ所目のホームとして誕生した。 京王井の頭線・小田急線「下北沢」駅より徒歩7分という立地にありながら、周辺には北沢川緑道や羽根木公園をはじめ、緑豊かな自然が溢れている。

     建物は、地上3階地下1階建、全30室の規模で、地下1階と1階は共用施設、2階と3階に居室(全室個室)を配している。
     アライブはもともと40室を1施設の基準としてホームを開設してきたが、「アライブ世田谷代田」は30室というさらに小さな規模という特長を生かし、アットホームさを重視している。ホームには、近所に住む画家の方から寄贈された絵画が数多く飾られ、高級感とアットホームを兼ね備えたホームの雰囲気にマッチしている。

     1階のエントランスを抜けると、樹木や水景を盛り込んだ中庭を望むラウンジがあり、ラウンジの隣にはイベントや食事会など用途に応じて利用できる多目的室がある。さらに奥に進むと、地域の方が自由に利用できるスペースもあり、地域の主婦のサークル活動や英会話教室の開催などに利用されている。
     地下1階には、車椅子の方でも利用できる機械浴室があり、2階と3階にはそれぞれリビングダイニング、個人浴室(2階:檜風呂、3階:ユニットバス)、ケアステーションがある。

    リビングダイニング

     居室は広さに応じてA~Eの6タイプある。居室内には付属設備として、トイレ、洗面化粧台、床暖房、エアコン、外線電話回線などが完備され、ケアステーション及びスタッフの携帯するPHSにつながる緊急通報装置(ナースコール)もベッドサイドとトイレの2ヶ所に設置されている。チェスト、デスクセット、介護ベッドの備え付け家具に加え、天井部分に設置されている吊戸棚や居室入口横のクローゼット等収納も充実している。

     利用料金は、入居一時金と月額利用料を支払う「一括払い・利用権方式」と「年払い方式」がある。
     入居一時金は、「一括払い・利用権方式」の標準コースが2,500万円~4,200万円、90歳以上コースが2,000万円~3,300万円、「年払い方式」は、430万円~730万円で、それぞれ居室により料金が異なる。
     その他、「上乗せ介護費用」が別途必要で、「一括払い」の標準コースが3,087,000円、90歳以上コースが2,205,000円、上乗せ介護費用の「月払い」を選択した場合は、毎月36,750円がかかる。
     月額利用料は、食費が105,000円、管理費が189,000円~273,000円で居室により料金が異なる。

     「アライブ世田谷代田」では、設計段階で実際に介護を行なう現場スタッフと設計部門が話し合いを重ね、居室のデザインや導線、暮らしやすさなどのアイデアを出し合ってきた。双方の業務や苦労を知る良い機会にもなり、介護スタッフも設計段階から携わったことで、施設への思い入れも特別なものになったようだ。

    檜風呂・機械浴室

    寄贈された絵画・屋上菜園室

  • ホームの特徴(セキュリティ・医療連携・環境への配慮)

    セコムアクティブICタグシステム
    (モニターで電力などを確認できる)

    非常時電源供給・厨房のIH機器

     「アライブ世田谷代田」では、セコムの最先端セキュリティを数多く導入している。

     施設の出入り口をはじめ各所の扉には、セコムアクティブICタグシステムを導入しており、電子錠を非接触にて開閉することができる。ICタグは、ご家族、スタッフなど特定の関係者に貸与することで、入退室を記録し管理することが可能だ。許可されたものだけが出入りすることができ、セキュリティの向上につながるのはもとより、スタッフにおいても施解錠の手間がなくなり介護に集中することができ、介護の質の向上にもつながっている。

     既にコンビニエンスストアでも導入実績のあるセコムIXシステムは、施設周囲に不審者が現れたなど、スタッフが何か不安に感じた時に、ケアステーション内の「相談ボタン」を押すことで、セコムのコントロールセンターにつながり、カメラ、マイク、スピーカーを通じて双方向で通話や確認が可能なオンラインセキュリティシステムだ。
     通報を受けたセンター側では、施設内外に設置されたカメラで状況を確認し、音声での警告や専門スタッフの駆け付け、警察や消防への通報などを行なう。
     ホームでは夜間帯に女性スタッフのみになる場合もあることから、入居者、ご家族はもとより、スタッフにも一層の安心を提供するシステムといえる。

    発電機・給水タンク

    太陽光発電設備・セコムAEDパッケージサービス

     さらに環境面に関しては、ペアガラス採用による断熱効率の向上や共有部のLED照明による消費電力の節減、施設内での緑地の整備をはじめ、熱交換型換気システムや太陽光発電パネルの導入、非常用浄水器の設置など、さまざまな点があげられる。
     太陽光発電パネルは、平常時には施設内の一般負荷の一部を担っており、災害時は太陽光による発電が可能な状態であれば1500Wの電力を災害時専用コンセントに供給する。また、非常用発電機は、災害などで電力会社からの電力が停止した場合に自動的に商用系統から切り離され、自立運転によって照明や厨房冷蔵庫に電源を供給し、停電による影響を軽減する仕組みだ。さらに停電が長期化した場合には、グループ企業の外部電源車により厨房機器を稼動させ、ご入居者はもちろん、可能な限り周辺地域住民にも温かい食事を提供する計画だという。

     さらにエントランス付近に設置された簡易型ベンチは、災害時に炊き出しかまどとして利用可能な設計となっており、敷地内のマンホールを利用できる仮設用組み立て式トイレなど、災害に備えた防災システムと設備は多岐に及んでいる。

    太陽光発電モニター

  • サービス

    居室

    トイレ

     スタッフにおいてはこれまでのアライブ同様、1.5:1と有料老人ホームの基準の倍以上の人員配置で手厚いケアを実現している。
     看護師は日中のみ常勤しており、千歳台はなクリニック、加島歯科、東邦大学医療センター大橋病院、鶴巻温泉病院、横浜新緑総合病院など複数の協力医療機関と連携しながら、日常の健康管理を行なっている。
     千歳台はなクリニックはかかりつけ医となっており、月2回の往診の他、24時間365日、深夜でもホームからの連絡に対応できる体制を敷いている。夜間の急変時などは医療的な指示を出し、必要に応じて緊急往診も行なっている。

     リハビリは、週1回理学療法士(PT)がホームを訪問し、定期的にご入居者の身体機能の評価と現状のリハビリ内容の見直しを行なっている。また、ホームのスタッフが理学療法士の指導の下、日常生活の中で身体機能を維持するための生活リハビリを毎日行なっている。

     アクティビティは、書道、フラワーアレンジメント、ドライブなど多彩なメニューを毎日実施しており、自由に参加することができる。入居者の趣味や嗜好、要望により新たなアクティビティも企画しているようだ。

    収納

     食事の提供方法にもこだわり、アライブ初の試みが実施されている。
     2・3階のリビングダイニングにはIHクッキングヒーター付きのミニキッチンが備え付けられており、厨房スタッフがその場で主菜の調理を行なっている。また、厨房直結のお食事用エレベータと副菜を適温で保管できる温蔵庫・冷蔵庫も完備されており、ホームの厨房で調理したできたての食事をすぐに提供できる体制も整えた。
     四季折々の旬の食材を使用した食事に加え、入居者一人ひとりの希望や嗜好に沿ったきめ細かい対応が行なえるのは、30室という小規模ホームだからこそのメリットかもしれない。

     介護サービスは、入浴が週3回(週4回以上は1回1,575円)、居室清掃が週1回、洗濯は週3回、買い物は週1回の指定日、外出時の同行は1時間1,575円での対応となる。夜間の巡回は3時間毎に行なっており、その他、各入居者に必要なサービスを個別対応している。

     (株)アライブメディケアでは、質の高い介護サービスを提供するために充実した研修制度や連絡会を設けており、特に平成20年度より全社員を対象に認知症の専門家を招き、認知症対応力の強化に取り組んでいる。

     現在、ご入居者は15名で、入居者男女比は2.5:7.5、平均介護度は2弱だ。(2013年6月現在)

  • まとめ(地域連携)

    献立表

     最後に、同施設の大きなテーマである「地域連携」にも触れておきたい。
     長期停電となった時には、入居者のみならず地域住民にもできる限り温かい食事を提供することも視野に入れた対応もその一つだが、それだけにとどまらない。
     世田谷区と「災害時における被災住民の避難に関する相互応援協定」を締結しており、大規模災害の発生時、区からの要請を受けた際に、可能な限り区内の一時避難所から要介護者の受け入れを行なうことになっているのだ。同社では、「アライブ世田谷下馬」と「アライブ世田谷中町」においても世田谷区と同様の協定を締結した。

     また、施設の位置する世田谷区代田2丁目に在住する人を対象に、ホームに空室が出た場合に優先的に入居できる「優先入居権」を提供している。
     世田谷区内にある「アライブ世田谷下馬」と「アライブ世田谷中町」においては、三井不動産レジデンシャル(株)(東京都中央区)の分譲マンションと、「優先入居権」の業務提携を行なってきたが、今回はそれをさらに進め、企業ではなく近隣住民の方に対して初めて「優先入居権」の付与を行なった。近隣の住民を対象としたのは日本初の試みといえる。

    アクティビティ予定表

     (株)アライブメディケアは、母体である医療法人社団三喜会鶴巻温泉病院(神奈川県秦野市)の高齢者医療・介護ノウハウ、そして株式会社荒井商店の不動産運営ノウハウを融合させ、1999年から介護付有料老人ホーム「アライブケアホーム」の運営を行ない実績を積んできた。
     アライブシリーズの現時点での集大成ともいえる同施設の取り組みは、環境への配慮、地域連携、防災対策のどれをとっても手厚く、地域の方々に対しても安心を提供できる施設となっている。 日本の高齢化が進む中、介護・福祉施設の重要性はますます高まっているが、今後施設が増えるに従い、地域住民との共生も重要なテーマとなることが予想される。
     施設入居者だけではなく、地域住民にも安心を提供する運営姿勢は、今後多くの地域に受け入れられていくのではないだろうか。

【施設概要】

住  所
東京都世田谷区代田2-26-8
最 寄 駅
小田急線「世田谷代田」駅より徒歩4分(320m)
京王井の頭線・小田急線「下北沢」駅より徒歩7分(560m)
敷地面積
1,137.78㎡
建築面積
1,705.45㎡
建  物
鉄筋コンクリート造、地下1階地上3階建
事業主体
株式会社アライブメディケア
種  別
介護付有料老人ホーム
契約形態
利用権方式
開 業 日
2012年11月
入居条件
年齢が概ね満70歳以上の方、入居時要支援・要介護
居 室 数
30室(定員30名)
居室面積
18.39~29.07㎡
入 居 金
[標準コース] 2,500万円~4,200万円(償却:7年)
[90歳以上コース] 2,000万円~3,300万円(償却:5年)
[年払いコース] 430万円~730万円(償却:毎日均等)
上乗せ   介護費用
管理費 月額189,000円~273,000円
食費   105,000円
介護保険利用料の1割負担
<その他の別途費用 >
・介護用品、その他日用品、消耗品、理美容費、  居室の電話代、医療費等の個人に関わる費用
・当ホーム基準を超えるサービス及び  介護保険適用外のサービスに係る費用
公式サイト
http://www.alive-carehome.co.jp/home/daita_tokucho.shtml

(2013年6月時点の内容です)

※このレポートの情報には細心の注意を払っておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。
また、このレポートはケアデザインが見学した施設の情報を簡易にまとめたものであり、 これをもって当方による推薦・紹介等を意図したものではありません。