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<施設見学レポート>高齢者向け施設の見学レポート

サービス付き高齢者向け住宅

ココファン日吉

ココファン日吉 建物外観

介護棟のエントランス

独立行政法人都市再生機構との大型プロジェクト

 「ココファン」というブランドで、「サービス付き高齢者向け住宅」(以下、サ高住)を展開している株式会社学研ココファン(東京都品川区)。
 今回は、サ高住と介護事業所を一体的に運営するほか、クリニックや学習塾を併設することで、高齢者と子供、地域住民の多世代交流の促進を目指している「ココファン日吉」を見学した。
 最寄りの横浜市営地下鉄グリーンライン「日吉本町」駅から徒歩8分、独立行政法人都市再生機構(UR)の団地の中に建ち、周りには公共施設や公園、スーパー、保育園がある、利便性の良い環境だ。

 「ココファン日吉」は、URが所有している敷地の有効活用に関するコンペに採用され建設の運びとなった。URの土地を70年の定期借地権で株式会社学研ココファンホールディングスが借り受け建物を建設、株式会社学研ココファンが借り上げて運営を行っている。

  • テナントにクリニック、薬局、学習塾
    ~近隣住民との交流も盛ん~

    デイサービスセンター

    居宅介護支援事業所

     同社のサ高住は、ある程度自立した生活ができる方を対象とした「自立型」と介護が必要な方を対象とした「介護型」に区分されるが、「ココファン日吉」は自立型と介護型双方を併設した「混合型」に位置づけられる。

     建物はL字状となっており、居室は自立型が2階から4階、介護型は2階から3階にある。1階には、ショートステイ(21床)、デイサービス(定員33名)、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所があり、利用している入居者が多いようだ。
     自立型と介護型に名目上分かれているが、居室の広さと設備に違いがあるだけで、どちらのタイプに入居するかは入居者が選択できる。
     自立型の入居者には専用の入口とエレベーターがあり、日常の導線は重ならないようになっている。
     同建物には他に、日吉本町クリニック、調剤薬局、学習塾がテナントとして入居している。これは、URが実施したコンペの条件に「近隣住民が利用できるような施設を設け、交流促進を図ること」があったことによるものだ。サ高住やデイサービスで行われる行事などに学習塾の生徒および近隣の保育園・幼稚園の利用者などを招き、相互交流を図っている。

    学習塾・調剤薬局

     自立型の住居は、34.65m2(1K)、54.85㎡(2LDK)、70.41㎡(1LDK)があり、各居室には、IHキッチン、浴室、洗面化粧台、収納、洗濯機置場、スプリンクラー、モニター付インターフォンなどの設備がある。
     介護型の住居は、18.08㎡~22.96㎡で、トイレ、洗面台、エアコン、スプリンクラー、ミニキッチンと収納がついている。各居室には浴室がないが、各階には、個室浴槽が5つ、広い浴槽でゆったりと入浴を楽しみたい方のための大浴場も設けられている。

  • ココファンシリーズのサービス

    食堂

    個室浴槽(ココファン日吉提供)

     契約に関しては、借家人が生きている限り賃貸借契約が継続する終身建物賃貸借契約を採用。学研ココファンは、日本で初めて終身建物賃貸借契約を結んだ企業だ。
     入居時に必要な費用は、家賃2ヶ月分の敷金と1ヶ月分の賃料、共益費、サービス費だ。
     数年ごとの契約更新が発生しないため、更新料も必要ない。入居時の費用を考えれば、入居一時金が必要な有料老人ホームに比べてかなり安価だと言える。

     「ココファン日吉」の場合、介護型(18.16m2)の賃料は7万5,000円~7万9,000円。これに、居室内の水道光熱費を含む共益費が2万円、サービス費3万2,550円がかかる。
     自立型(34.65㎡~70.41㎡)の賃料は10万5,000円~18万8,000円、共益費が4,600円~7,500円、サービス費が2万6,250円~3万2,550円と居室の広さにより価格が異なる。住居スペースは、単身者用だけではなく、夫婦で入居できるタイプもある。

    掲示板

     ココファンシリーズ共通の「基本サービス」には、24時間対応の緊急時対応サービス、フロントサービスと指定日のゴミ出し、健康医療相談に、介護型では生活の見守り支援が加わる。
     フロントサービスは(9時~18時)、タクシー、レンタカーの手配、生活情報の案内、宅配便の発送、受付と併設サービスの利用案内など。
     緊急時には、24時間365日館内のスタッフが駆け付け、必要な場合は、職員が住戸に入り、かかりつけ医の往診や救急車の手配をする。夜間は介護職員1名体制となるため、1階のショートステイの介護職員と連携して対応にあたる。
     自立型にはリズムセンサーがあり、在室で12時間以上水回りの使用がない場合に作動する。天井のスピーカーは、双方向の会話ができ、本人の状態を確認できる。
     有料のオプションサービスには、介護や食事サービス、買物代行や居室清掃、外出の付き添いなどがあり、必要な時にサービスを受けることができる。
     食事は、「ココファンキッチン」(同社と株式会社アルスが共同開発した給食システム)を通じて、栄養管理の行き届いたメニューを用意している。予約制で、希望すれば毎日3食提供される(1食ごとに別料金)。2食前なら無料でキャンセルもでき、入居者の約75%(※2012年5月時点)が食事を申し込んでいるそうだ。

  • まとめ

    介護棟見取図

     2012年5月31日現在、入居契約者の平均年齢は88歳、男性の入居者も3割に及ぶ。現在満室で、自立型では40組以上の待機者がいる。
     近隣からの入居が多いが、東京都内や遠方からの家族の呼び寄せ、セカンドハウスとしての利用ケースもある。
     認知症であっても入居でき、入居者の中には経管栄養やインシュリンの自己注射が必要な方もいる。
     保証人が立てられない認知症の方は、成年後見人をつけることで入居が可能となる。

     これまで有料老人ホームは月々の費用が高額なうえ、入居時に数百万円~数千万円という一時金が必要である場合も多かった。これに比べ入居時に入居一時金が不要で敷金程度で済むサ高住は、大幅に入居しやすくなっている。
     特別養護老人ホームや老人保健施設の絶対数が不足している中、金額や契約面で安心できるサ高住が果たす役割は大きい。
     入居者が自己決定でサービスを選択する自由があり、プライバシーが守られ、しかも必要な時間に個別の援助が受けられる。今回「ココファン日吉」を見学して、高齢期に安心して暮らせる住まいが、納得しやすい価格で事業化されている印象を受けた。

    自立棟廊下

    休息スペース

     しかし、介護が必要になった場合は、自らが契約した介護業者を通じて外部からヘルパーの訪問介護などを受けることになり、その点では自宅で介護保険の「居宅サービス」を受けるのと一緒だ。
     利用者の要介護度が重くなってきた場合には介護の費用負担もかさんでくることになり、要介護度が大きく進んだときには介護付有料老人ホームなどへの住み替えを考えなくてはならない可能性もある。
     サ高住はあくまでも「住まい」であって、「有料老人ホーム」ではないので、入居に際しては追加の費用負担や、今後のライフプランに合っているかなどもよく調べ、慎重に検討したいところだ。

     今後、全国展開も視野に入れている学研ココファンは、高齢者向け住宅の出店加速に向け、日本初となる年金ファンドを活用した「サ高住の流動化」を実施すると発表した。
     「医療」と「介護」を連携させ、高齢者が安心して住むことができる、地域に開かれた風通しの良い住まいの提供を目指す学研ココファン。
     同社の取組みには今後も注目が集まりそうだ。

【施設概要】

住  所
神奈川県横浜市港北区日吉本町4-10-50
最 寄 駅
横浜市営地下鉄グリーンライン「日吉本町」駅より徒歩8分
種  別
サービス付き高齢者向け住宅
敷地面積
3,370㎡
延床面積
5,158㎡
建  物
鉄筋コンクリート造、地上3階建(一部4階建)
居 室 数
81戸(介護型57戸、自立型24戸)
居室面積
Aタイプ(54.85㎡)、Bタイプ(34.65㎡)、
Cタイプ(70.41㎡)、Dタイプ(18.08~22.96㎡) 
料  金
【自立型】
賃料(105,000円~188,000円)、共益費(4,600円~7,500円)、
サービス費(26,250円~32,550円)
【介護型】
賃料(75,000円~79,000円)、共益費(20,000円)、サービス費(32,550円)
※入居時に敷金として家賃の2ヶ月分が必要です。
入居条件
満60歳以上(審査あり)
事業主体
株式会社学研ココファン
公式サイト
https://www.cocofump.co.jp/facilities/detail/hiyoshi/

(2012年5月時点の内容です)

※このレポートの情報には細心の注意を払っておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。
また、このレポートはケアデザインが見学した施設の情報を簡易にまとめたものであり、 これをもって当方による推薦・紹介等を意図したものではありません。