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<施設見学レポート>高齢者向け施設の見学レポート

通所介護施設

夢のみずうみ村 浦安デイサービスセンター

建物外観

入り口付近の明るい色づかい

注目のデイサービスが首都圏進出

 夢のみずうみ社が2011年7月、浦安市に開設した「夢のみずうみ村 浦安デイサービスセンター」には全国から数多くの見学者が訪れる。同社の代表藤原茂氏はNHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演(2009年11月)して以来、全国で講演、著書「強くなくていい 弱くない生き方をすればいい」を含め6冊出版するなど情報発信活動も数多く行なっている。山口に本拠を構える同社にとっては、初の首都圏進出となるが、この施設の秘密を探ってみたい。

人生の現役養成道場とは…

  • 工場をデイサービスに再生

    工場跡をデイサービスに再生

    館内の案内図も手作り感たっぷり

     地下鉄東西線の浦安駅から8分歩くと、「夢のみずうみ村浦安デイサービスセンター」にたどり着く。外観上、工場にしか見えないのは、大手音響メーカーの工場を改修して、デイサービスとして蘇らせたからである。その規模は、なんと約1,000坪、定員も最大200名とデイサービスにしてはかなり大きなものになっている。入り口には味わいのある字体で「人生の現役養成道場」という看板が掲げられている。施設の中に入ると、赤・青・黄色など原色に塗った壁の色遣いがとてもカラフルで気持ちも華やぐ。

    バリアありぃと呼ばれる階段

     建物は2階建てで、坂や段差、曲がり角など日常で遭遇する可能性のあるバリアを意図的に複雑に配置している。生活感のあるごみごみとした環境がリハビリには効果的だそうで、これを職員は「バリアフリー」ならぬ「バリアありぃ」と称している。

     また、建物内の廊下には随所にクイズや体を動かす遊びなどのプログラム(健康トリム)が職員の手作りで仕掛けられ、効用などの説明が明記されている。これらに取り組むことで自然に頭や身体のリハビリができるようになっている。

  • 最大の特徴は「自分で決める」こと

    片手でつくる料理教室が行なわれる食工房

    今日の私の予定表

     デイサービスとは、高齢者が日帰りで通い、レクリエーションや食事・入浴などのサービスが受けられる介護施設である。一般的なデイサービスでは集団での行動が基本となっており、決められたスケジュールにしたがってお年寄りが集められ、レクリエーションなど一斉に与えられたメニューをこなす方式が主流である。一方、夢のみずうみ村の最大の特徴は、「自己選択・自己決定方式」と呼ばれ、高齢者自らがその日のデイサービスセンターでの過ごし方を豊富なメニューから自由に選択できる点である。

    ■ 脳を活性・手先を鍛えるメニュー 
    パソコン・デジカメ・カラオケ・木工・織物・頭の体操・陶芸・ちぎり絵・クリーニング・水墨画・片手でつくる料理教室・和太鼓・パン作り・マージャン・カジノ・紙すき他

    ■ 身体を鍛えるメニュー
    健康トリム・機械トレーニング・健脚教室他

    ■ 身体を癒すメニュー
    からだほぐし・機械マッサージ・あたため・ボーっとする・なにもしない・気分次第・そよ風にふかれる他

     例えば、「カジノ」や「そよ風にふかれる」など多種多彩なメニューの中から高齢者自身がその日何をするのか決めて、ホワイトボードに貼り表示する仕組みになっている。

    村内の通貨「ユーメ」

     本格的なパン工房や焼き窯がある陶芸教室、園芸の部屋といった設備も充実しており、まるで「高齢者のためのカルチャーセンター」のようだ。食事についても上げ膳据え膳ではなく、保管してある自分専用のお茶碗に自分で盛り付けをするなど、スタッフは必要以上にサポートをせず、ひとりひとりが持っている能力を最大限に活かして行動することを促している。さらに、夢のみずうみ村内で使用できる通貨として「ユーメ」があり、各リハビリプログラムに参加するときの支払いだけでなく、ためることもふやすことも可能だ。例えば、カジノでのルーレットやトランプ、クイズ、見学者の案内や内職等、多様な手段でユーメを稼ぐことができる。

  • 藤原茂代表の「夢のみずうみ」

    藤原茂代表

     「夢のみずうみ村」の藤原茂代表から直接お話も伺うことができた。

    藤原茂氏プロフィール
    夢のみずうみ村ホームページより転載

    1948年山口県萩市生まれ 作業療法士 NPO法人夢の湖舎理事長、株式会社夢のみずうみ社代表取締役、琉球リハビリテーション学院長、日本作業療法士連盟相談役

    中学校から広島にて下宿生活し高校卒業 浪人生活を経て大学進学 入学した翌月から 児童養護施設「至誠学園(東京都立川市)」の住み込み児童指導員となり、学業との両立ならず、子どもとの暮らしを選択し勘当。20代を子どもたちとともに成長する。33歳、都立府中リハビリテーション専門学校作業療法学科卒業。

    以後精神科作業療法(医療法人 清和会 吉南病院)、高齢者リハビリテーション(和同会 防府リハビリテーション病院)、身体障がい者・発達障がい児リハビリテーション(和同会 山口リハビリテーション病院)を経験。1996年より 山口コメディカル学院作業療法学科長をへて、現在同校顧問。

    2000年、特定非営利活動法人「夢の湖舎」を設立し、翌年、夢のみずうみ村山口デイサービスセンター開設。 2004年 株式会社 夢のみずうみ社を設立し、2005年10月 夢のみずうみ村防府デイサービスセンター開設

    <著書>
    介護予防リハビリテーション    青海社
    園芸療法入門           夢の湖舎出版部
    何でもできる片麻痺の生活(共著) 青海社
    生活支援のためのリハビリ・プログラム(1) 青海社
    生活支援のためのリハビリ・プログラム(2) 青海社
    強くなくていい「弱くない生き方」をすればいい 東洋経済新報社

     藤原茂氏によると、現在の介護保険制度では、要介護者がデイサービスでリハビリにより元気になるとデイサービスの収入が減るという構造的な問題がある。デイサービスの利用者が元気になるよう、事業者にとってもインセンティブが働く仕組みが求められる。夢のみずうみ村に来られた方は、「ゆめ階段」をつくり(やりたいことを見つけ)、その階段を駆け上がることで「生活の回復」「人生の回復」を遂げ、その結果として「身体機能の回復」を果たしていく。利用者の中には介護度が軽くなる人も多いが元気になっても通いたいという人は多いそうである。 同社では、こうしたモデルを全国で1000か所に拡大したいと考えている。今後、選ばれるデイサービスとは、従来のような「集団一斉方式」から、夢のみずうみ村のような「自己選択・自己決定方式」に変わるものと思われる。夢のみずうみ村はこれからの時代におけるデイサービスのあり方を示唆しているに違いない。

【夢のみずうみ社概要】

社  名
株式会社 夢のみずうみ社
住  所
山口県山口市大字中尾字木乃787番地の1
設  立
2001年9月
事業内容
・介護保険等における通所介護事業
・フランチャイズ加盟事業所の運営・管理
・在宅介護サービス事業
・介護・リハビリ機器販売、レンタル、製造、
 開発及びリフォーム他
代表取締役
藤原 茂(作業療法士)

【浦安デイサービスセンター概要】

住  所
浦安市当代島2丁目13-27
最寄駅
地下鉄東西線浦安駅徒歩8分
設  立
2011年7月
利用条件
介護保険の対象の方
営業時間
月曜日~土曜日(年末年始を除く) 9:00~16:00
電話番号
047-304-6051
公式サイト
http://www.yumenomizuumi.com/information/day-service-urayasu.html

(2012年1月時点の内容です)

※このレポートの情報には細心の注意を払っておりますが、内容の正確性を保証するものではありません。
また、このレポートはケアデザインが見学した施設の情報を簡易にまとめたものであり、 これをもって当方による推薦・紹介等を意図したものではありません。