悩み解決Q&A
高齢の父に運転免許証を返納させたい

84歳の父は普段から車を運転していますが、車をこすったり急ブレーキをかけることが多くなり心配です。先日、父と運転免許証の返納について話し合いましたが、買い物に不便だと言って応じてくれません。
最近、父と同世代の高齢ドライバーによる事故が相次いで報じられていることもあり、家族としては早めに免許を返納してもらいたいと考えています。
父を説得する良い方法はありませんか?

近年、高齢ドライバーが加害者となる交通事故が大きなニュースとなっており、運転免許証の自主返納についてご家族で話し合われているご家庭も多いのではないでしょうか。
車が暮らしに欠かせない移動手段となっているお父様にとって、返納という決断は簡単なことではありませんが、運転免許証を返納することはお父様自身の安全を確保するとともに他者を巻き込むような重大な事故を未然に防ぐことにもつながります。

ケアデザインプラザでは、お父様が納得して免許を返納していただけるように運転免許証自主返納制度や返納の際のご家族の対応・考え方、相談窓口などについてご説明しました。

 

◆運転免許証自主返納制度とは

高齢ドライバーによる事故が相次ぐ中、運転免許証を自主返納される方が増えています。
「運転免許証自主返納制度」とは、自主的に運転免許の取り消しができる制度で、1998年4月から制度化されています。手続きは、運転免許センター、管轄地域の警察署で受け付けています。本人による申請が原則ですが、年齢が65歳以上の方については、持っている全ての種類の免許を返納する場合に限り、ご家族等の代理人による申請も可能となっています。

運転免許証を返納すると身分を証明できるものがなくなってしまうと心配される方もいますが、自主返納後5年以内であれば身分証明として一生涯利用することができる「運転経歴証明書」が取得できます。

 

<自主返納のメリット>

免許証を自主返納することで受けられるメリットや特典もあります。車の年間維持費(約50万円)がなくなることで経済的な余裕ができる、歩くことで健康になれる、各自治体や事業者による交通費割引や優待特典が受けられる等、内容は多岐にわたります。

運転経歴証明書を提示することで
受けられる特典サービス

・市営や県営などのバス運賃割引、優待券
・指定タクシー会社の運賃割引サービス
・金融機関等の金利優遇
・ホテル、デパート、スーパー、商店街、娯楽施設等の割引
・車の売却時に商品券等を受け取れる

「高齢運転者支援サイト」 (一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会) 
※都道府県名をクリックすると、都道府県警察又は都道府県の支援策を紹介しているページにアクセスできます

 

<自主返納のデメリット>

公共交通機関が整備されている都心部であれば免許を返納しても生活への影響は少ないかもしれませんが、電車やバス等の交通手段が整備されておらず、自家用車以外に生活の足がないような地方では、行動の自由度が下がり、生活が大きく変わってしまう可能性があります。また、歩いていける範囲に病院や商業施設がなければ、ご家族に車を運転してもらう必要も出てくるため、ご家族への負担が大きくなる可能性もあります。

 

◆ご家族がチェックすべき運転行動

運転に自信があるという高齢者であっても、反射神経や判断能力は加齢とともに衰えてくるため、ご家族が定期的に同乗し、客観的に運転の内容をチェックすることが大切となります。
以下の項目のうち5つ以上にチェックが入る場合は免許の自主返納を検討しましょう。

>> 運転時認知障害の早期発見チェックリストはこちら

 

◆ご家族の対応・考え方

例えお父様の安全を思ってのことであっても、やみくもに免許の返納を迫るのは良くありません。高齢者の中には運転を単なる移動手段としてではなく、「生きがい」や「趣味」の一つとして楽しんでいたり、免許や車そのものに特別な思い入れを抱いていたりするケースがあります。車を使う頻度や目的によって、効果的な説得方法も変わってきますので、まずは免許や車がどのような存在なのかをご家族も理解することが大切です。
また、返納のお話をする際は、返納後の生活に対してポジティブな提案をするようにしましょう。

ご本人にとっての運転の「目的」「意味」を理解しながら説得しましょう 

運転する「目的」や「意味」は人それぞれです。まずは、ご本人の運転に対する思いを共有し、運転を中止することで必要となる支援についても一緒に考えていきましょう。

●日常生活に必要な場合   自動車の代わりとなる移動手段や支援を探す
【例】ご家族が運転する車に乗る、公共交通機関を利用する、病院の送迎バスを利用するなど。

●生きがい・楽しみの場合  運転以外の楽しみや生きがいとなる活動を一緒に探す
【例】交流ができる場への参加(サークル活動、カルチャーセンター、老人クラブ、フィットネスクラブ)、
   ご家族で旅行をする、介護保険通所型サービス、貸農園での活動、ボランティア活動など

免許の更新に合わせて返納を促しましょう 

75歳以上の免許更新には「認知機能検査」と「高齢者講習」の2つが義務付けられています。
検査結果が75点以下の場合(「記憶力や判断力が少し低下している」、48点以下は「認知症の疑い有り」)は免許の返納を促すタイミングです。

<参考>
道路交通法の改正ポイント(一般財団法人 全日本交通安全協会)

不安があれば医療機関にて正確な診断を受けましょう 

認知症の不安がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、正確な診断を受けましょう。担当医から症状や運転を含めた日常生活への影響について良く説明をしてもらいましょう。

【受診先】
認知症疾患医療センター、もの忘れ外来、心療内科、精神科、神経内科等

ご本人の安全を確保しましょう 

運転が危険だと感じた場合は、認知症であるかどうかに関わらず運転を継続することは望ましくありません。「運転時認知障害の早期発見チェックリスト」の項目にチェックが入るようであれば、ご本人に運転を中止してもらえるよう粘り強く話し合いましょう。

 

◆相談窓口

運転者自身が危険性を認識していない場合は、無理にでも運転を継続しようとすることがあります。ご家族での説得が困難な場合には、一人で悩まず相談窓口を利用してください。

<安全運転の継続に必要な助言・指導>
運転適性相談窓口(警察庁) 

<運転免許証の自主返納制度の説明や手続き>
各警察署の交通課警察署・免許センター

<認知症の不安がある場合>
かかりつけ医、認知症疾患医療センター

<今後の暮らしや介護サービスについての相談>
地域包括支援センター、ケアマネジャー

 

◆運転支援・サービス

【安全運転装置等を活用して運転時の安全を確保する】

「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」、「ドライブレコーダー」などの安全装置が搭載された車によって、交通事故を防いだり被害を軽減できたりする可能性があります。
政府も安全機能が付いた車種のみを運転できるようにする高齢ドライバー専用の新しい運転免許制度の創設を検討し始めています。安全装置搭載車の購入に要する費用の一部助成を行っている自治体もありますので、購入前に助成の有無や要件等について確認してみましょう。

【ドライブレコーダーを活用した運転支援サービス】

任意自動車保険会社からドライブレコーダーを活用したサービスが登場しています。保険会社から貸し出される通信機能付きの多機能ドライブレコーダーを車に取り付けることで、自分の運転をチェックできたり、万が一事故が起きてしまった場合には110番や119番、ロードサービスに自動で通報がいく等、安全運転サポートや充実の事故対応サービスが受けられます。

>> 各社の運転支援サービス

 

◆まとめ

コンサルティング後、ご相談者様はお父様と相談し、自動車保険の特約サービスを利用することにしたそうです。
ご相談者様は「家族が心配していても父は自分は大丈夫と聞く耳を持たず、その後じっくりと話をすることができませんでした。しかし、同じ世代の方が起こした事故については気になっているようで、ドライブレコーダーのサービスに関してはすんなりと了承してくれました。毎月提供される運転診断レポートの項目で1つでも引っかかるところがあれば免許を返納すると約束をしてくれたので、家族としては少し安心しました。今後、父が納得をして免許を返納してくれるように運転適性相談窓口にも相談してみたいと思います。」とおっしゃっていました。

 

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