三井不動産
三井不動産
 

ケアデザインプラザ 三井不動産のケアデザインプラザ 三井不動産のケアデザインプラザ

  医療法人財団 神戸海星病院 〜セコムの医療ビジネス試金石〜
2007年12月21日


神戸海星病院


※右クリックして保存してご覧下さい。
医療法人財団 神戸海星病院 (2:26 wmv形式)
高画質
 
低画質
 
1920×1080/261MB
640×360/10MB
※Windows Media Playerをお持ちでない方はこちらから



JR六甲登山口駅から六甲山方面へ坂を上ること約10分。小高い場所に位置する医療法人財団神戸海星病院(180床、立石博臣理事長)は、セコム医療システム(株)との業務提携により昨年、機能を一新し新病院へと生まれ変わった。当初は一般170床、医療療養23床、介護療養21床を抱えていた同院であるが、建替えに伴い徐々に医療療養病床と介護療養病床を削減。現在は180床の急性期病院に特化し、紹介率の増加や7対1看護(最も手厚い基準)を取得するなど安定経営を実現している。2009年には、セコム医療システム(株)が運営する有料老人ホーム「コンフォートヒルズ六甲」が、同一敷地内に病院と直結する形で完成予定だ。


 
 






  そもそも同院は、明治4年に開設された神戸在住の外国人向けの病院、「万国病院」を前身とする、兵庫県下で2番目に歴史の古い病院である。昭和36年にマリアの宣教者フランシスコ修道会が中心となり社会福祉法人聖母会「神戸海星病院」の礎を築き、平成元年に改組によって現在の医療法人財団「神戸海星病院」となってからも、国際総合病院のみならず地域の基幹病院としての機能を果たしてきた。 「しかし、築40年が経過し、老朽化した建物・施設では先進的な医療サービスを提供することが難しい状況となっていた」と法人本部経営管理部部長の牧卓氏は話す。一方で資金の問題もあり、現実的に建替え計画を進めていくには幾つもの課題があったという。  

そうしたなか、同院は2002年にセコム医療システム株式会社と包括的業務提携をすることに決定、これにより病院の全面建替えおよび同一敷地内後背地(約3万m2)に同社が有料老人ホームを建築、運営するという再開発計画が進められることになったのだ。

建替えにあたってはまず、セコム医療システム(株)の親会社であるセコム(株)が病院の土地を40億強で買い、病院が抱えていた負債を返すことになった。新病院はセコム(株)の100%出資会社であるセコム医療システム(株)が建て、海星病院がテナントとして入る。隣接する有料老人ホームについては、セコム医療システム(株)が100%出資するセコムフォートウエスト(株)が建物を建て運営していく。

「建替えにあたっては、財団が所有する基本財産を一旦はずすという手はずをとりました。それには県が許認可権をもっているので、県と協議をし、病院が経営難のため土地を売却して賃貸形式にするというスキームを説明したうえで認められた」と同院の経営管理部の牧氏は説明する。






再開発計画が進むにつれて、同院では病院の今後のあり方を検討するための「ビジョンプロジェクト」という職種横断のプロジェクトを発足。発足当時の許可病床数は一般170床、医療療養型23床、介護療養型21床のケアミックス型の病院であった。診療科のなかでは眼科や消化器内科の評判が良く、特に眼科は先代の山中昭夫院長(現名誉理事長)が一代で築き上げ、今でも遠方から患者が訪れるという。その一方、他の病院より外国人患者が非常に多いという以外に明確な特徴を打ち出せずにいた。

「ビジョンプロジェクトでは、疾病構造のマクロ変化、競争環境、医療制度改革の方向、職員の意識といった4つの視点から病院の進むべき方向を議論した」と牧氏は言う。

折しも療養型については入院基本料の引き下げや病床削減が議論され始めており、一方でマーケティングの結果、同院がある程度強みとして打ち出せる眼科、消化器疾患、糖尿病、人口関節置換術、皮膚疾患などの領域は、今後増加傾向にあることが分かった。また、もともとは急性期病院で、ベッドが埋められないという事情から療養型を作っただけに、医師やコメディカル(技師、看護士等医療スタッフ)など多くの職員は急性期志向が強く、高度な医療をより高い次元で実現したいと望む職員がほとんどだったという。そこで、最終的にはケアミックスを廃し、「眼科・角膜センター」、「リウマチ・人工関節センター」、「形成外科・皮膚センター」、「消化器センター」、「糖尿病センター」の5つ特徴を明確にした特化型急性期病院に再編していく方針を固めたのだ。






こうして、建替えに伴い療養44床は徐々に閉鎖され、2006年12月、新病院のオープンとともに一般病床180床の急性期病院として神戸海星病院は再出発をきった。基本戦略を明確にしたことで、「眼科・角膜センター」では角膜移植手術症例数が県下トップクラスとなり、人工関節置換術数に関しては今年度は200例以上の症例数となることが予想されているという。

また、月間紹介件数が50%増え、一日の一般病床入院患者数も平均で約30%増加。閉鎖した療養病棟の看護師を配置転換したことで7対1入院基本料の診察報酬基準もスムーズに取得できた。 さらに看護職員を手厚くしたことで、病床の回転率も上がり、現在病床稼働率は90%を維持し、平均在院日数は17日から15.5日に短縮。土地、建物の賃貸料が支出に上乗せされたにも関わらず、現在は収支均衡を保っている。


病院外観:
新病院の設計は安藤忠雄氏に依頼。コンクリート打ちっぱなしの新病院は、上空から全体を見渡すと、木の葉が舞い落ちていく様子をモチーフに各病棟が配置されていることが分かる。

 


窓外の眺め:
小高い場所に位置する神戸海星病院の窓からは、神戸港とポートアイランドが一望できる。

 


個室:
差額料2万円のスタンダードタイプの個室。このほか、5万円の特室がある。
差額ベッドは全部で50床あり、個室が33床、二人部屋が17床。4床から構成される部屋も全て準個室化しており、全病床に冷蔵庫と寝ながら一日1,200円でVIDEO On Demandやテレビが見られるロングアーム液晶テレビのほか、インターネット利用環境を整備。ちなみにテレビ1台の設置費用は12万円。全室取り付けるにあたって約5,000万円の費用を要したが、一日1,200円の使用料で約10ヶ月で回収できるという。

 


チャペル:
院内に設けられたチャペル。専属のシスターとファーザーが一名ずつ所属し、毎週日曜日にミサが行われる。

 


病院受付:
病院のインテリアは高島屋スペースクリエイツに依頼。家具はすべて特注で、温かみのある配色で統一されている。

 


天使の輪:
受付の天井に設けられたライトは天使の輪をイメージ。キリスト教の精神に基づく病院ならではのアイデア。

 






なお、再編に伴い医師の増員が不可欠であったため、外部から医師を招聘し、現在は神戸大学医学部からの医局人事で来ている医師が半分、もう半分は招聘したドクターや入職希望者で構成されている。

今後はセンターの充実と質の高い医療を提供するため、優秀な人材を確保することが課題だが、そのため同院では、看護師の等級制度を見直し、認定看護師や専門看護師(すでに老人専門看護師が一名在籍)をN1〜N7まで独自に等級分けし、さらにその上にスーパーナースラダー(SN)という等級を設け、等級別に優遇するなど工夫している。

また、接遇やアメニティ改善に関しては、同院には外国人患者が非常に多いことから、患者の通訳や相談に応じるLady’s Volunteerという35年の歴史を持つボランティア団体をもち、対応している。同組織は10ヵ国の国籍、19ヵ国語をカバーするが、もともとはKobe international medical foundation(通称KIM)という神戸に住む外国人の富裕層が作った財団に所属する団体である。KIMは神戸海星病院の前身である万国病院の母体であり、神戸海星病院となった今もKIMの組織は存続しており、Lady’s Volunteerはそこから海星病院に派遣されている。

「普段は毎日病院で外国人の方に英語でサポートしてくれていますが、外国人患者さんのなかには英語を理解されない方も1%程度の割合でいます。その点Lady’s Volunteerはアフリカや中国などの少数民族の言語などもカバーしているため、あらゆるケースに対応してくれる」と牧氏。こうしたボランティア団体のサポートだけでなく、同院では職員への英語教育にも積極的に取り組んでおり、多くの職員が英語での対応が可能だという。






一方、2009年に完成予定の有料老人ホーム「コンフォートヒルズ六甲」は、介護と医療が一体化した関西一ハイグレードなホームを目指す。定員は健常者向けが111室、要介護者向けが58名で、入居金は現段階で健常型が6,500〜7,000万円、介護型は2,500万円〜を想定している。芦屋、宝塚、西宮方面からの問い合わせも多く、現時点ですでに530組から「セコムコンフォートクラブ」の資料請求の問い合わせが来ている状況だ。

「ただ、530組のうち実際に会員に登録してくださったのは300組程度で、残りは資料請求のみです。もしオープンと同時に満室にしたいと思えば、部屋数に対して10倍ぐらいの登録がないと厳しい」と牧氏は言う。  

なお、近隣には中央区海岸通の一等地に建つ介護付き有料老人ホーム「海岸通・エレガーノ神戸」(経営主体:神明倉庫株式会社、業務支援:神鋼ケアライフ株式会社)があり、関西では非常に評判が高く、健常、介護とも高い入居率を実現している。  

そのようなななかで、「コンフォートヒルズ六甲」の一番のセールスポイントは、同一敷地内にある神戸海星病院と行き来ができ、必要なときにいつでも医療が受けられるという安心感である。

「3年ほど前、大阪の三ノ輪、西宮、吹田、西は神戸や芦屋に住むセコムのホームセキュリティユーザーに“老人ホームに入居の際、優先したいものは?”というアンケートをとったところ、1番目に医療体制、2番目に立地、3番目に運営企業の安定という回答がありました」(牧氏)

現在、神戸海星病院では高度医療のほか、超高齢社会に対応した病院となるため訪問看護ステーションや居宅介護支援センターなどの在宅医療、介護事業も手がけている。そこにセコムグループがもつ高齢者施設運営ノウハウを加え、新しい高齢者施設モデルを構築したいという。具体的な業務提携としては、「24時間緊急医療対応」「定期的な入居者健診」「医師の定期的派遣」「栄養・予防指導」「リハビリテーション」などを実施する予定。神戸海星病院が「コンフォートヒルズ六甲」居住者のホームドクターとなるというわけだ。

「入居者は70歳近くの方が多いので、何かしら体に変調を抱える方がほとんど。物理的に病院が近いということで安心感につながれば」と牧氏は期待を込めて語る。もちろん、開設と同時に満室が理想であるが、現実的な展開として健常型は開設時の入居率70%から、徐々に95%の採算ラインにもっていきたいという。介護型は40%からのスタートを考えている。


 
 



 

詳しくはお問い合わせください。

   
■ 2007年7月27日 訪問 ■

R&Dレポート TOPページへ
[ご注意]
このレポートの情報には細心の注意を払っておりますが、内容の正確性を保証する ものではありません。
このレポートは、累計数百に及ぶ実地調査済み施設のうち、2006年4月以降調査した 物件をランダムかつ簡易に紹介しているものであり、当方による推薦等を意図した ものではありません。

 
Copyright 2007 Mitsui Fudosan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
R&Dレポート TOPへ R&Dレポート TOPへ