グループハウスの設計について
2007年11月21日
三井ホームデザイン研究所
開発設計室 塚本千代子
参考:
【R&Dレポート】施設情報「グループハウス欅
」
小規模の家族的なグループハウスの設計をする時に、外から出入りする時の靴の履き替えをどこでするかということは、とても重要なポイントとなります。
普通のアパートと比べ、グループハウスのリビングの近くに配置された共用の玄関は、それとなく人の出入りの気配がわかり、入居者の暮らし方にも関係してきます。
出かける時、帰ってきた時に自然に一声掛けられるような入所者の関係が理想です。
各部屋から自分専用のバルコニーやデッキに出られることは、避難上有効ですが、布団や洗濯物を干すなどの機能面からだけでなく、暮らしの中にぜひ取り入れたい半屋外空間です。
植木鉢やプランターの草木の手入れは暮らしの潤いとして生活の一部になってくれる事でしょう。
大規模な施設では生活時間に制約があるので放送設備が必要となりますが、普通の住宅に近いグループハウスでは、むしろ家庭的な雰囲気を壊しかねません。
ただし消防の自動火災警報機や緊急通報設備は緊急の場合に備えとして必要です。
浴室
各個室に介護者のスペースが配慮された広めの浴室があることは理想ですが、介助が必要になったときの浴室が共用部にあることで、地域の介護保険のサービスを活用していざという時の入浴に備える事ができます。
また入浴している事がわかってもらえて安心な事もあるでしょう。
「グループハウス欅」ではオーナー様のこだわりで、木製の浴槽を取り付けました、ゆっくりくつろいだ雰囲気の浴室になったばかりでなく、保温性にも優れているので体が温まると好評のようです。
また入居者同士、仲の良い方との入浴もあるそうです。
共用部の掃除を外部に頼むことで、入居者の暮らしの負担を軽減する事も可能かもしれません。
洗濯機置き場
共有の洗濯室に2・3台置く所や、阪神淡路大震災後に建てられたコレクティブハウスの例では、共用部の廊下に各自の洗濯機がおかれるように設計されて、コミュニケーションの機会を増やす工夫となっていましたが、「グループホーム欅」ではそれぞれの個室内におけるように計画されました。
リビングルーム
入居者ばかりでなく地域の方も混じっての活動の場とする事も出来るでしょう。
「グループハウス欅」では解放的な空間とするために、吹抜を設け、床暖房を設置して一年を通して気持ち良く過ごせるように配慮しました。
車いす利用者への配慮が必要な場合もありますが、自立的な生活が可能な入居者を対象とする場合には、アプローチはスロープよりも緩やかな階段の方が歩きやすいかもしれません。
入居者の身体状況に合わせた対応ができるように、その都度手摺等を付け加えるようにしていくなど工夫が必要になります。
水廻りに関しては、スペースにゆとりを持たせ、介護者のスペースを確保しておく必要があります。
「グループハウス欅」では、個室のトイレと洗面所を一緒にした1坪の部屋を用意しました。
今のところはゆとりがあるので、身の回りのものをしまう小型のチェストなどを置いて、各自上手く住みこなしておられるようです。
プランバリエーション
1棟目の暮らしが始まって、2棟目の設計もご依頼いただきました。
当初高齢者向け優良賃貸住宅制度を利用する計画もありましたが、その当時の神奈川県の方針はもっと大規模な共同住宅を想定していたため、制度に乗せることができませんでした。
2棟目はさらに車いす利用のご夫妻の家を組み込むこと、学生さん等の個室、高齢者向けの個室など、さらにプランバリエーションを増やす構成になりました。
どの部屋からもバルコニーに出られるようにと言うオーナー様の強い要望で、複雑な間取りとなりました。
こうしたグループハウスでは建物のハードが半分、実際の運営や入居者の方々の交流や暮らしがあって初めてグループハウスが成り立つものだと思います。
新しい暮らし方の選択肢の1つとして、これからも注目していきたいと思っています。
「グループハウス欅」では確認申請の時に役所の建築指導課で、室内の共用廊下から入る昔のアパートのようなものとして、「共同住宅」に扱われる事になりました。同じような形態の認知症グループホームは、寄宿舎として扱われます。役所によって扱いが異なる事があるのではないかと思います。
参考:
【R&Dレポート】施設情報「グループハウス欅
」
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このレポートは、累計数百に及ぶ実地調査済み施設のうち、2006年4月以降調査した 物件をランダムかつ簡易に紹介しているものであり、当方による推薦等を意図した ものではありません。
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