三井不動産
三井不動産
 
ケアデザインプラザ

  施設情報 「グランソール奈良」
2007年8月17日


グランソール奈良


※右クリックして保存してご覧下さい。
■グランソール奈良 (3:59 wmv形式)
高画質
 
低画質
 
1920×1080/442MB
640×360/17MB
※Windows Media Playerをお持ちでない方はこちらから



物件名 グランソール奈良
種類 「人間ドック・健診施設機能評価」認定施設
「健康保険組合連合会」指定施設
開設年月 2001年4月
所在地 住所 〒633-2221 奈良県宇陀市菟田野区松井8-1
交通

近鉄榛原駅(大阪難波駅から特急で40分)から車で約10分(送迎バスあり)
針ICから車で約25分

建物概要 敷地面積 約7,500m2
延床面積 約5,000m2
土地建物 鉄筋造地上3階建
設計・施工 株式会社 中村勉総合計画事務所
事業主 事業名 グランソール奈良
開設者 辻村貴弘(院長)
業務内容 人間ドック・健診、医療、免疫治療
居室 室数(定員) 18室(19名)
居室面積 28m2(8.5坪)〜メゾネットタイプ153m2(46.5坪) 
緊急通報・
安否確認
居室にナースコール、吸引、酸素供給装備を設置
料金 人間ドック 基本人間ドック57,750円〜精密コース(1泊)男性138,600円、女性160,600円
オプション
検査

脳ドック31,500円、肺がんドック12,800円他

ホームページ http://www.grandsoul.co.jp

 





  よきにつけ悪しきにつけ、日本の一歩先を行くアメリカの医療状況を折々に視察してきたグランソール奈良の辻村貴弘院長は、日本にも、自分の健康は自分で守らねばならない時代が必ずや来ると確信していたと言います。
高性能の検診機器を備えた一流の検診技術と検診システムを誇る人間ドック専門のクリニックをつくろうと考えたのは、健康確保の基礎となる病気の早期発見・早期治療が医療ニーズの主流となると見越したからです。


  しかし、「医療はサービス」という認識が医療の側にも患者の側にも希薄だった時代に、しかも過疎化の進む地方都市に、高級リゾートホテル顔負けの検診施設を立ち上げようという計画に、周囲の反応は冷たかったと言います。
事業として成り立つはずがないと。

グランソール奈良の2006年度の人間ドック利用者は延べ約3,000人。
北海道や長崎県などの遠方からはもとより、中国や韓国など海外からも団体で訪れるなど、時代の追い風に後押しされ、検診事業は右肩上がりの成長を続けています。
また、最近は、がん治療に新しい可能性を開くとして注目されている免疫細胞治療の関西以西の主要拠点としての足場も固めつつあります。





  リゾートホテル風の瀟洒な建物につい目を奪われがちですが、グランソール奈良は、日本人間ドック学会が認定した奈良県初の本格的な検診施設。(1)最高クラスの機器による検診、(2)複数の専門医による診断システム、(3)病院紹介などのアフターケア、(4)土曜・日曜日も受診可能などの特徴を打ち出しています。


  (1) 最高クラスの検診機器
  米GE社製の最新鋭の検診機器を導入(開院時)、とくにがん検診では数ミリ単位からの腫瘍の早期発見の実績を上げています。
また、腹部CT検査(肝臓がん、膵臓がん、胆嚢がん、腎臓がん検診)を標準検査として基本人間ドックに組み込んでいる他、「脳ドック」「肺がんドック」など十数種のオプション検査を用意し、検診当日でも追加できるようになっています。
コースと料金は下表のとおりですが、1泊の精密コースでも検診に要する時間は午前中の3時間。
この“ハイクラス&ハイスピード”が、受診者増とリピーター確保につながっているとみられます。

・MDCT
従来のCTに比べ、より広い範囲を短時間で撮影。最小スライス厚1.25mmまで再構成することができるため、より細かい病変の発見が可能です。
・MRI
動脈瘤、血管狭窄、脳梗塞などの診断に使用。造影剤が不要なため、受診者の負担も少なくてすみます。


     ※「グランソール奈良」パンフレットより
・RI(核医学検査)
臓器の血流と機能についての情報を得るための機器。脳血流、心筋の血流、代謝やがん転移、骨の異常などの診断に使用されます。

・デジタルマンモグラフィ
使用されているのは、一度の撮影で拡大率やコントラストを変えることができる高性能機種。微小な病変を早期発見することが可能。実際、早期の乳がんを発見し、即日摘出したケースもあります。

     ※「グランソール奈良」パンフレットより

コース
基本人間ドック
(昼食付)
レディース
(昼食付)
精密コース
(日帰り・昼食付)
精密コース
(1泊・2食付)
メタボリック
シンドローム
ドック(昼食付)
料金
(税込)
57,750円
31,500円
男性84,000円
男性138,600円
14,700円
女性106,050円
女性160,600円



  (2) 複数の専門医による診断システム
  検診に携わる医師は、関西以西の医科大学から集まった専門医たち。さらに、検診画像の“誤読”と“見落とし”を防止するための2重のセーフティネットとして、外部の複数の専門医をデジタルネットワークでつないだ診断システムを構築。検診画像や電子カルテ等を伝送して診断をともに協議するなど、短時間に極めて確度の高い診断結果を出すシステムを確立しています。

  ・デジタルネットワークシステム。外部の各専門医の診断が瞬時に集まってきます。

 

※「グランソール奈良」パンフレットより(クリックで拡大)



  (3) アフターケア
  早期発見は早期治療と一体となって初めて生きてきます。
しかし、信頼できる医師や病院を自力で探せる患者は多くはいません。
そこで、グランソール奈良では、再診・治療が必要な受診者には、各自が希望する地域の最適な専門医を選定・紹介する他、CT等の画像フィルムも当日提供しています。

また、入院・通院先の医師には、できるかぎり電話などで状況を知らせるところまでフォローしています。
こうしたアフターケアを含めた “検診サービス”であることを考えるなら、上記の料金設定はむしろリーズナブルかもしれません。
ただし、この“エージェント業務”は病院と提携契約を結べばできるというものでもなく、簡単にはマニュアル化はできないと言います。辻村院長をはじめとする医師たちの個人的な“人脈”が利用者の安心を支えているようです。



  (4) 土曜・日曜も受診受付
  平日は仕事を休めないことを理由に健康診断を怠り、体調の異変に気づいたときには手遅れというケースが少なくありません。サービス業ならむしろ当たり前の土・日営業を実施することで、「旅行を兼ねた人間ドック」という新しいニーズの掘り起しに成功しています。

近くに室生寺、長谷寺などの観光名所や、ゴルフコースを控え、宿泊設備も充実している検診旅行は、旅行会社にとっても健康志向時代にふさわしい魅力ある商品。JTBや日本旅行を通して国内外からの団体客が送り込まれてきます。

  ・メゾネットタイプの居室。
病院の発想からは決して生まれないくつろぎの空間です。
宿泊費は受診料に含まれますが、どのタイプの部屋も一律15,000円(1泊2食付)。
受診者1名に数名の家族や友人が付き添いとして宿泊することも可能です。


 
 
 






  人間ドックと並び、グランソール奈良の経営を支えるもうひとつの柱として急成長しているのが免疫細胞治療です。

現在、がんに対しては、外科治療(手術)・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法が3大治療法として行われています。しかし、早期発見・早期治療の場合の治癒率は上がっているものの、進行したがんの多くはこれらの治療に抵抗性です。免疫細胞治療は、3大治療法の限界を補填する第4のがん治療として注目されています。

免疫細胞治療と一口に言っても、その治療法は医療機関によってさまざまです。
グランソール奈良が実施しているのは「活性化自己リンパ球療法」のひとつ。
とくにがん細胞に対する殺細胞効果がもっとも強く、第4のリンパ球と言われる「NKT細胞」を増殖するものです。
患者から血液を採取し、NKT細胞を選択的に培養・増殖させた後、点滴により再び体内に戻すという方法をとっています。

免疫細胞治療は、本質的に副作用がないこと、通院治療が可能なこと、痛みが軽減するなどQOL(生活の質)がむしろ向上すること、他の治療との併用が可能なこと、患者個々のオーダーメード治療であることなど、他の治療法にはないいくつもの特徴を備えています。
しかし、一般にはまだほとんど認知されておらず、ここを訪れるのは、他に打つ手がなくなった進行がんの患者がほとんど。サンプルとしてはかなり不利な条件ですが、にもかかわらず、奏効率43%という治療実績を上げています。

ここでの免疫細胞治療は、通常は6回を1クールとし、2週間ごと(症状によっては1週間ごと)に培養したNKT細胞等のリンパ球を点滴します。1回の治療費は約20万円。
ある種のがんに限定的に健康保険の適用を認めようという動きもあるようですが、がん治療に不可欠の治療法として公的に認められるまでにはまだ時間がかかりそうです。


<奏功率のグラフと分類表>
※「グランソール奈良」パンフレットより





※「グランソール奈良」パンフレットより

[症例1・肝細胞がん(61歳・男性)]
進行性9cm大の腫瘍が治療開始6カ月後に4cm大に縮小。肝内転移巣も一部消失。腹水も消失。

[症例2・肺がん(66歳・女性)]
治療開始2カ月後に右肺部門の腫瘍が縮小。

[症例3・腎細胞がん(30歳・女性)]
検診により腎臓がんを発見。摘出手術後に肺転移し、免疫細胞治療開始。2カ月後に転移巣が消失。


 
・治療用細胞加工室。
高い治療実績は、免疫細胞の培養技術の高さに支えられています。

※「グランソール奈良」パンフレットより






  総工費約20億円をかけながら、安定した経営状況を持続できているのは、会員制の医療システムによるところが大きいようです。
検診・治療・入院・終身看護等が保障されるオーナー会員コースと、生涯にわたり精密検査を受ける権利を有する一般会員コースの2種の他、最近これらに、少額会費で従業員まで含む検診受診が可能な福利厚生型の法人契約コースを加えました。

オーナー会員の入会金は1,800万円。一般の病院に入院した場合(個室・介護付)、入院費が月額100万円を超える例も珍しくないなか、ここでは入院費も、個室使用料も、付き添い費用もすべて込み。
医療介護の総額が1,800万円を超えることがあっても、追加の負担金はいっさいなしという契約内容です。

大手保険会社の大量の不払いが発覚するなど、私的保険に対する信頼が揺らいでいます。
まして、一病院が終身の保険システムを果たして維持できるのかという不安はありますが、現在、オーナー会員は約200名(保険事業はグループ内の別会社が行っています)。事業を拡大するつもりはなく、積極的な営業を行っていませんが、それでも微増ながら会員数は増えていると言います。


・全室にベッドを2床以上設置。
一般住宅並みのキッチンや浴室を備え、家族も自宅にいる感覚で付き添うことができます。
現在、3名のオーナー会員が入院中。会員の高齢化が進めば、居室が不足することは必至。
来年中に12室を増築し、需要に応じて順次増やしていく計画です。

 
 






  2006年、厚生労働省は、生活習慣病の原因とされる内臓脂肪による肥満の健診・指導を健康保険組合などに義務付ける方針を打ち出しました。
しかし、肥満防止のための正しい知識を持つ指導者抜きで目標数値を達成することは不可能と言ってもよく、厚労省認可の公益法人である社団法人企業福祉・共済総合研究所は、「肥満予防健康管理士」の資格制度をつくり、2007年から認定試験を開始しました。

これを受け、グランソール奈良では、資格取得のための講習会と試験を開催し、これまでにすでに100名近くの肥満予防健康管理士を生み出しています。
検診受診後に受診者に提供している健康教室は、この肥満予防健康管理士よって行われ、個々の検診結果に応じた食事・運動・意識療法などの指導をします。
「自己流では絶対に痩せられない」と辻村院長。「指導を必要とする人には100%痩せさせるとの固い決意のもとに、定期的に経過をチェックし、ときには厳しく尻を叩くこともある」と言います。

また、ここから生まれた肥満予防健康管理士を、各地の検診医療機関や健康保険組合、地方自治体、スポーツセンターなどが主催する健康講座などに無料で派遣し、肥満に関する正しい知識を普及させる活動も展開しています。
「お金も手間もかかりますが、肥満予防に関しては社会貢献活動としてやっていくと決めたので、今さらやめるわけにはいきません」(辻村院長)。


リハビリ室を兼ねたホール。
肥満予防健康管理士の資格取得講習もここで開かれています。

 

健康教室会場。
検診後の健康指導は受診料に含まれるサービスのひとつ。
集団指導と個別指導の2本立てで健康管理をサポートします。

   

健康教室の奥は談話室。

 






  グランソール奈良の建物は、建築家・中村勉氏の設計によるもの。
日本産業デザイン振興会の2001年度グッドデザイン賞を受賞しています。  

モデルとなるような具体的なイメージはなかったそうですが、「病室のような部屋はつくるな」「動線は気にするな」「できるだけ不便にしろ」「患者の自立活動を妨げる、ただ甘やかすだけのバリアフリーはいらない」などなど、通常の医療施設とは逆の注文をつけた結果が、この建物でした。  

検診室から居室へ、居室からレストランへ、大浴場やロビーへ…。
どこへ行くにも、いったん屋外に出てからという不便さ。
そのたびに、野鳥のさえずりや木々の梢を渡る風の音が耳に入ってきます。
また、グランソール奈良がある宇陀市は奈良盆地の夏の暑さとは無縁の高原地帯。
避暑地のリゾートホテルとしても十分に営業していけそうな立地と環境です。

ガラス壁を多用したシンプルなデザイン。
館内に光が降り注ぎます。

 

医療施設の無機質さを徹底的に排除したという受付ロビー。

 

館内のあちこちに美しいデザインの椅子やベンチが置かれ、目を楽しませてくれます。

 

2階ロビー。
エレクトーンのミニコンサートが催されることもあります。

 

サウナも完備した大浴場。
極太の槇(まき)材を使用した贅沢な風呂と、数種の薬湯が楽しめる黒御影 石の風呂の2種があります。

 
 
 

居室のバスルームのタイルの色も各室ごとに変える凝りよう。

 

患者用ベッドの頭の上には吸引、酸素供給装備などの取付口が並んでいますが、普段は引き戸で目隠しされています。利用者の気持ちを考えた医療施設らしからぬこだわりが他にも随所に見られます。

 

管理栄養士の指導のもと、栄養バランスを考えたメニュー。地域ならではの食材を利用した食事を楽しめます。

 

受診用としてオリジナルデザインされたウェア。宿泊時のパジャマとしても使用されます。
寒い日は、これもまたおしゃれなデザインのガウンが用意されています。

 







  化学医薬品は服用したくないという人や、栄養補助食としてサプリメントを摂りたいけれど、何がいいのかわからないと相談してくる人が少なくないそうです。
サービスの柱となるほどのニーズがあるわけではありませんが、医学的に効果が認められていないがんやダイエットなどの高額な “特効薬”が市場に野放しになっているなか、代替医療ニーズにも医療者としてトータルに対応していきたいと言います。  

サプリメントは、サプリメントカウンセラー(医師・薬剤師・栄養士)が、血液検査の結果などから個々の状態に合ったサプリメントを処方。追加分は電話で注文することができるシステムになっています。

また、毎週2回、病気予防のほか、さまざまな症状の緩和を目的とするメディカルアロマセラピーをはじめ、健康状態を改善するための指圧マッサージや、身体のバランスを整え、自然治癒力を引き出すための鍼灸も希望者に実施しています。

オーダーメイドサプリ。

   

週2回、メディカルアロマ・鍼灸・指圧マッサージを実施しています。

 
 






  開院当初は、「辻村病院が馬鹿なことを始めた」と、陰で揶揄されることもあったそうです。
しかし、現在、人間ドック受診者のリピーター率は70%に迫る勢い。
施設の運営を通して、日本の医療に対する考え方の変化を実感すると言います。  

「国はあてにできないということ。サービスという観点が欠落した大病院の医療に対しても、以前はこんなものとあきらめていた人たちが、おかしいと気づき始めています。気持ちを理解してくれるどころか、モノ扱いされる医療施設より、より快適なサービスを提供してくれる医療施設を自ら選択しようという動きが出てきています。後追いながら、医療機関も変わり、大学病院でさえ“サービス”を意識するほどになりました。しかし、その一方で、患者から批判されまいとして、守りの姿勢に入ってしまっている医療者もいます。無理を承知で言うなら、患者さんを家族として処遇する態度が必要だと思います。100%実践するのは無理としても、誠意は伝わると思うんですね」(辻村院長)。  

言うは易し、ですが、実際、運営コンセプトには不適応と判断した医師を何人も解雇したと言います。  

「従業員は僕らを見ています。専門外だからと診察を拒否したり、重症患者を抱えているので緊急患者は受け付けません、といった態度をとれば、従業員もそうした態度で患者さんに接するようになるでしょう。患者さんを家族のように思いやり、がんの腫瘍が消えたと言ってはともに喜び、お大事にと玄関まで見送る。そういう積み重ねが医療のレベルアップにつながっていくのではないでしょうか」。  

ここを医療モールのモデル地区にしたいと言います。
辻村病院、グランソール奈良に続き、通りを挟んだ敷地に、2005年3月、認知症高齢者用のグループホームを開設。
翌年4月に居宅介護支援事業と訪問看護ステーションを立ち上げ、2007年6月からはグループホームに隣接した事業所で認知症対応も含めた通所介護、デイサービスを開始しました。
さらに、免疫研究所の培養施設を増築して培養能力を現在の3倍に増強する他、人工透析の専用施設の建設、賃貸の老人マンションの建設の計画もあり、3〜5年以内に完成させたいとしています。


認知症高齢者グループホーム「四つ葉のクローバー」。

 

開設前の最後の仕上げ工事に入った訪問看護ステーション、デイサービスセンター、通所介護、
居宅介護支援事業所「四つ葉のクローバー」。

 
 




免疫細胞治療の可能性 
理論的には免疫細胞治療が多種疾患対象になり、それどころかアンチエイジング対策になることも十分考えられるとしながら、今は、がん患者、しかも命の期限を迫られた患者への対応で精一杯だと言います。

免疫細胞治療は、免疫細胞によって認識されうる抗原がある場合には、それを排除する力となって発揮されます。
がん以外にも、肝炎ウィルスなど、免疫細胞の攻撃ターゲットになる抗原がある症状には効果があります。
患者数が急増している糖尿病も、「特異的抗原になるものが発見されれば、今後、免疫細胞による治療が可能になることも考えられる」と言います(松尾良信グランソール免疫研究所所長)。

ただ、現時点では、がん治療を目的とした免疫細胞治療を行ったところ、血糖値が下がった、膠原病の痛みが改善したというケースもある、としか言うことができません。免疫細胞治療がアンチエイジング等に応用されるようになるまでには、さらなる研究とデータの蓄積が必要のようです。


技術もサービスも超一流の医療モールが目標 
とくに、検診と免疫細胞治療において超一流でありたいと言います。
会員制の医療システムに関しては、世の中に一石を投じるつもりで始めた事業であり、現状維持が目標。
患者が医療を選択する時代にあって、医療者の志の高さと誠意が試され始めていると、辻村院長は言います。
「医療者という少数の特権階級がその他大勢の患者をないがしろにしてこられたのは昔のこと。医療にも競争原理が持ち込まれた今、本物しか生き残れなくなっています」。






(1)
行政には頼れない

厚生労働省は2001年から一般病床(急性期患者のための病床)を、当時の100万床から50〜60万床に絞り込む計画を遂行しています。日本医師会では、2015年には280万床が必要とされると試算し、政府の改革案に異を唱えてきましたが、医療改革は日本医師会が描くグランドデザインとは逆の流れを急ピッチで進んでいます。

「ベッド数はすでに90万床を切り、60万床どころか25万床にまで減らす計画だと聞いています。制度ひとつ変えれば、すぐ減らすことができますから、そこまでいくのに10年もかからないでしょう。介護保険制度も急場しのぎの仕組みでしかありません。最期は昔ながらの在宅で死になさいと、そういう流れができてしまったようです」と辻村貴弘氏。

グランソール奈良の人間ドック事業の伸びが示しているように、早期発見・早期治療のための予防医療が、国をあてにできない時代の医療の重要な柱になることは間違いないようです。
同施設が開院した当時、人間ドックに特化した医療施設は全国でも数件しかありませんでしたが、現在は、奈良県だけでも他に3件、この他、帝国ホテルやニューオータニなど異業種が病院などと提携してサービスの目玉とするなど、検診を事業として注目する動きはますます活発化することが予想されます。


(2)
リスクも考慮した選択の時代

会員制の医療システムを立ち上げるに際しては、法律上の問題、資金の運用・管理の問題などさまざまな角度から検討を重ねたと言います。
一般の医療保険と大きく違うところは、保険料に相当する会費を一括納入すること(グループ内企業の株式会社ユーメディクスが運用・管理)、また、入院・治療費などに上限を設けていないこと、さらに、差額ベッド料や食費、付添費などすべてが会費で賄われ、総額が入会費を上回ることがあっても追加請求されないことなどが挙げられます。    

これらの特典がすべて履行されるなら、個人会費1,800万円は安いと言えるでしょう。
むしろ安すぎる不安さえありますが、医療費のさらなる高騰を予測したうえでの金額設定とのこと。    

グランソール奈良が当初、終身医療システムのターゲットとしたのは、将来の健康にいちばん不安を抱いていると思われる中流層。しかし、自助努力が可能とあえて対象からはずした高額所得層の会員も少なくなく、経済的な問題を含めて不安の大きさは変わらないようです。    

今後は一時金方式の会員制事業のリスク、すなわち、将来の入院需要の増加というリスクをどう担保するかが課題です。


(3)
検診事業の採算ラインは年間2500人

グランソール奈良の人間ドックの受診者数は 開院3年目あたりから1,800人を超え、その後は右肩上がりで伸びています。個人、法人会員の企業の社員、各種の健康保険組合や共済会の組合員の他、JTBや日本旅行とタイアップして以降は、国内外から訪れる団体客も増加傾向にあります。
また、最近は中高年層ばかりでなく、若い人も増えているそうです。    

「健康に対する取り組み方は、病気になったら考えようというタイプと、若いときから管理していこうというタイプとの2極化が進んでいますが、確実に後者のタイプが増えています。時代の追い風に乗って経営的にはいちおう成り立っていますが、あくまで医療ですから、大きな利益が上がるわけではありません」と、辻村貴弘氏。    

同施設の専任職員は、医師、看護師も含めて約30名。受診者数の増加に伴って職員増を図ってきましたが、医療の質を維持するための人件費負担は大きくなるばかりだと言います。
クオリティの高さが生き残りのカギとなりますが、それ故に事業の拡大成長は必ずしも利益増にはつながらないというのが実情のようです。


(4)
海外からも注目される免疫細胞の拠点

現在、免疫細胞治療を実施しているのは、大学病院と民間病院を合わせても全国でせいぜい20箇所くらい。
自力で免疫細胞を培養しているとなるとさらに少数です。
グランソール奈良は、治療技術だけでなく培養技術の高さが注目され、東京、広島、大阪などの医療法人から、中国、韓国など海外からも、検診システムとセットにした医療提携の話が持ち込まれています。

新しいがん治療として世に問いたいという思いはあると言います。
拠点が増えることは患者の利益につながることでもありますが、ビジネスという側面だけに注目した提携話が多く、慎重に検討していきたいとしています。

いずれにせよ、今後は、免疫細胞治療などの専門技術に突出した医療機関が評価を高めることが予想され、研究者、医療者の争奪戦もますます激化することが予想されます。

保険医療の枠外である予防医療と特殊専門医療の世界は、言葉を代えて言えば、厳しい競争の世界でもあるわけです。



 

詳しくはお問い合わせください。

   
■ 2007年6月21日 訪問 ■

R&Dレポート TOPページへ
[ご注意]
このレポートの情報には細心の注意を払っておりますが、内容の正確性を保証する ものではありません。
このレポートは、累計数百に及ぶ実地調査済み施設のうち、2006年4月以降調査した 物件をランダムかつ簡易に紹介しているものであり、当方による推薦等を意図した ものではありません。

 
Copyright 2007 Mitsui Fudosan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
三井不動産のケアデザインプラザ 三井不動産のケアデザインプラザ R&Dレポート TOPへ R&Dレポート TOPへ